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駄文集

孤独

作者: 川柳えむ
掲載日:2015/05/17

 孤独が好きだった。

 誰かと一緒なんて、鬱陶しくて、面倒くさいこと。

 そんなのをあえて好むやつとか。

 俺には理解なんてできないことだった。


 ある晴れた日だったと思う。

 誰かが、隣に座った。


 ……誰だよ?

 うざったい……煩わしいな……。

 俺は望まない。

 誰か、他人といることなんて。絶対に。


「本当は、怖いんでしょ?」


 唐突に、そいつが言う。

 顔は俺を見て微笑んでいた。


 ――こいつは、なにを言っているんだ?

 怖い……?

 なんで怖い? なにが怖い?

 俺がなにを恐れているっていうんだ。


「本当は、独り取り残されるのが、怖いくせに」


 そいつはそのまま続ける。

 俺は顔を逸らした。


 違う。

 俺が望んでいることだ。

 独りが好きなんだ。


「いつか訪れる別れを、恐れているんでしょ。

 なら、最初から出逢わないほうがいいって。

 そう、思っているんでしょ?」


 ……恐れ……?

 俺は、恐れていたのか?

 一緒にいることで、人の温もりを知ってしまって。

 でも、いつか必ずやって来る別れに。

 俺は、恐れていたのか?


 顔を少しだけ上げた。


 ……本当は――


 知っていた。

 本当は知っていた。


 本当は、孤独が好きでなくて……。

 本当は、孤独を恐れていた……。

 だからこそ、あえて孤独でいたんだ……。


 そんな俺に――


「恐れる必要はないよ。

 別れのかわりに、また、新たな出逢いが待っているはずだから。

 ほら。

 今、このときのように。

 出逢いも必ず訪れるから……」


 顔を上げて、隣のそいつを再び見た。

 そいつの微笑みは、先ほどよりも柔らかく、そして、愛おしく感じた。



 ――そして、それから。そいつは今でも俺の隣に座っている。


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