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如意宝珠  作者: 茉井華
9/9

始まりの前

「うゔゔ・・・」


皇太后の目は虚ろになっている。


「・・・つまんないわね」


そう言うと今度は理朶の方に行き、


「この度はご愁傷様」


と煽る。


当然理朶は憎悪の籠った眼で艶華を睨みつけた。


「でも仕様がないわね、これは運命よ、最初からこうなると決まっていたの、貴女に皇后なんて分不相応だと天は判断し、貴女を見捨てた、そして私を選んだ!そう!私こそが天に選ばれた真の皇后なのよ!」


「き、きさっ・・・まぁ・・・」


「恨むのならご自身をお恨みになってね、皇后なんて不似合いな立場になったご自身の運命に、ね・・・」


「き、貴様!!殺す!!殺してやる!!殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺してやるうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!」


激昂した彼女は声が枯れそうなくらい激しく叫ぶ。


「ふっ、殺すって手足のない貴女がどうやって私を殺めるというの?」


艶華は動じるどころか馬鹿にしたように嗤うだけだ。


「はっ・・・確かに現世では無理だ・・・だが、まだ私には来世がある・・・!!お前の来世は鼠だ!!そして私は猫・・・!!この意味が解るか?!解るだろう?!!お前の来世は猫の私に頭からボリボリ食われて内臓も手足もボロボロで行儀悪く食われそれでも確り骨の髄まで食われる憐れで無様で呆気なく死ぬ鼠なんだよぉ!!!あははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!」


狂ったように嗤う理朶を冷ややかな目で睨みながら艶華は、


「あっそう、負け犬の戯言でも叶うといいわね」


そう言って、曹嶔に視線を移し、


「この二人を酒壷に入れなさい」


と言ってまた理朶に視線を移し、


「最期だもの、骨の髄まで酔わせてやるよ、たーぷりとな」


と言った。


そして・・・


曹嶔は皇太后を酒壷に入れた。


壷がガタガタ震えていたが、やがて大人しくなった。


「さぁ、次は貴女の番よ?」


艶華は理朶を見る。


「待ってろよ・・・生まれ変わったら・・・本当に、お前を食い殺してやるからな・・・貴様が私を忘れても私は貴様を忘れはせんぞ!!どんなに遠くに居ようとも、必ず見つけて殺す!!殺してやる!それまでが楽しみだよ!艶華ァァァァァァァァァァァァァァッ!!!あははははははははははははははははははははっ!!!」


バシャン


理朶の笑い声は直ぐに止んだ。


酒壷を開けると、もう死んでいた。


「これで邪魔者は消えた・・・ふふ、あははは、あははははははははははははははっ!!」


処刑場には、艶華の笑い声が不気味に響き渡っていた。





半年後・・・


艶華は待望の男の子を授かった。


名は朱瞻熾しゅせんし、後に生まれてくる主人公の異母兄にあたる。


翌年、艶華は女の子を授かった。


名は朱玲月しゅれいげつといい後に生まれてくる主人公の異母姉にあたり、そして彼女の起こした行動によって主人公は運命の波に吞まれていくのだが・・・それはまだまだ先のお話。


そして玲月が生まれてから、琿春は少しずつやつれてきた。


無理が祟ったのだろう。


琿春は隠居した賢德を頼って、暫く療養することとなった。


(どうせ、私など居なくても皇后たちが何とかするだろう・・・私は傀儡なのだから・・・)


そう思っていたので、政治はこれまで通り曹一族と皇后に任せ、琿春は賢德の元に向かった。


誰も反対する者はいなかった。


子供にすっかり夢中になっていた為、艶華も特に反対はしなかった。


まさかこの療養中に琿春が運命の相手と漸く廻り遭うだなんて、誰も想像すらしていなかった。


そう、琿春自身でさえも・・・

このシーンは唐の時代に則天武后が皇后と側室を処刑した話を素にしています。


もちろん艶華のモデルは則天武后です。


則天武后は明の人ではありませんがぶっとんだ悪女で明代の人が居なかったもので・・・(笑)

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