始まりの前
一方・・・琿春が退場してから艶華は、
「さぁ!!今から私が皇后だ!!そしてその女は陛下の子であり、私の子である、産まれたばかりの姫を無残にもその手にかけた!!これは到底許されぬ行為である!!よって今すぐその女、及び、擁護した者を全て捕らえよっ!!!」
と命令を下す。
曹嶔が理朶の腕を、曹拮祥が皇太后の腕を掴んだ。
「なっ?!貴様っ!!一体これは何の真似だ?!」
暴れる皇太后に、曹拮祥は呆れたように言う。
「何を仰いますか・・・皇后様が擁護したもの全て捕らえよと仰せになられたでしょう?」
「なぁっ?!!貴様ら!!一体誰のおかげでその地位を手に入れられたと思っている!!離せ!!離さぬか!!」
皇太后と理朶、そして反対していた无忌と登善らも連行されていく。
「一体私達をどうする気だ?!」
投獄された皇太后は曹嶔を睨み負けじと喚いている。
「何を偉そうに・・・貴女方の処分は皇后様が決めます、それまでここに入れろというご命令を承っているのです」
曹嶔はそう冷たく言い放つと、そのまま背を向けて立ち去っていく。
「くそっ・・・!!あ奴らと手を組んだのが間違いであった・・・」
皇太后は憤慨し壁を叩く。
しかしもう今更だ。
艶華が此の儘二人を生かしてくれるわけがない。
二人が投獄されてから三日が経った。
その日は曹嶔がやってきて獄の扉を開け、
「皇后様がお呼びです」
と二人を連れだす。
「ああ、そうそう・・・无忌殿と登善殿は流刑だそうですが、无忌が昨夜首を吊って死んだそうです」
「何っ?!それは真か?!」
「ええ、間違いありません、私も遺体を確認しました」
「「・・・」」
いよいよ二人はもう死を覚悟するしかない。
連れてこられた場所には何故か酒壷が二つ置いてあった。
「この二人には死罪を言い渡す、だが、そう簡単には死なせたりなど、私はしない」
艶華は厭らしい笑みを浮かべ、
「そういえば皇太后様・・・かつて、ご子息の両腕両足を切断なさったとか・・・」
そう皇太后へ話しを振り・・・
そして・・・
「まずこの二人の両腕を切り落としなさい!!」
嗤いながらそう命令を下した。
「なっ?!!離せ!!離さぬか!!」
「いやっ!!止めて!!止めて止めてやめてえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」
ザシュッ ザシュッ
ザシュッ ザシュッ
二人の両腕は呆気なく地に墜ちた。
「次は脚だ」
「はっ!!」
ザシュッ ザシュッ
「い゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
ザシュッ ザシュッ
二人の両足もぱたりと墜ちる。
「どうですか?皇太后様?ご自身が殺めたご子息と同じ様な目にお遭いになって、今どんな気分ですか?」
くすくすと楽しげに艶華は嗤う。