状況把握とサービス回?
「うーん、なるほどねぇ……」
元ガイアスの城で現在はオレのものである、日本の室町時代くらいの様式の城。その書斎でオレは無数の書物に囲まれながら背伸びをした。
この世界のことを調べていて分かったことがある。
それは、ここが魔界だということだ!(ドヤァ!)
……じょうだんはここまでにして、この世界について説明しよう。
この世界には、「魔界」と呼ばれる魔族の世界のほかに、天使などの聖なる存在が暮らす「天界」、そして人間たちの支配する「人間界」がある。
人間界!
やっぱり在りましたよ!
ひゃっほーい!
……と言いたいとこなんだけど、そうは問屋が卸さない訳で。
この俗にいう「三世界」にはそれぞれが他の世界に干渉できないよう、つねに「世界門」と呼ばれる門を閉じているらしい。
この門を開けられるのはそれぞれの世界に一つだけ存在する「世界門の鍵」が必要になる訳だが、この鍵、魔界では魔王だけしか使用できないらしい。
じゃあ魔王に「門開けて―」って頼めばいいじゃん! っと思うじゃん?
だがしかーし、な、なんと魔王はお亡くなりになっているそうだ!
おお、魔王よ、死んでしまうとは情けない!
いやいや、だがまだ方法がない訳ではない。
今行われている「魔王選別戦争」。この戦争の勝者には次の魔王になる権利が与えられ、そしてオレことドラグニア・ランフォードこそ前魔王の娘にして七候補の一人なのだ!
つまり、オレがこの戦争の勝者となり魔王になれば、元の世界に帰ることができるという訳だ!
……はっきり言おう、無理!
無茶を言うなよ、こちとら今までただの平社員だったんだぜ?
ま、いっか、その辺はガイアス君に任せるとしよう。
そうそう、七候補についてもここで説明した方がいいだろう。
七候補とは、前魔王ドラグニオス・ランフォードが魔王候補として選んだ七人の大魔族の総称である。その強さは魔界でも圧倒的であり、他の自称候補などとは強さの次元が違うらしい。
惨殺姫 ドラグニア・ランフォード
闘神 ガイアス・ウォーレット
最強吸血鬼 アルトゥーレ・ルシファー
悪夢の女王 シフィーナ・ローレンツ
死神大王 シン・ミクトラン
美貌の魔術師 ロキ
そして、前魔王の弟 オジリア・ランフォード
正直、自分がこの中の一人っていうのが全然実感しない。
そりゃあそうか、オレ自身はただの一般人なわけだし。
この七人の中でオレが一番気になっているのは、吸血鬼の王アルトゥーレ・ルシファーかな?
吸血鬼ってだけで中二心をくすぐるっていうのに、ルシファーって、あーた。
まったく、どこの「オレの考えた最強キャラ」だよ!
ちなみに、「ルシファー」っていうのは称号みたいなもので、圧倒的な強さを持つ者に代々受け継がれてきた名だそうだ。
うん、間違いなくこいつと戦うのは危険だ。
あとは、淫魔の女王シルフィーナ・ローレンツだろう。
理由? そんなの淫魔だからに決まってるじゃないですか!
まったく、どんなえろえろな戦いになるんですかねぇ?
パンチラは当然として、あとは、お、おっぱいとか!?
女王ってんだからきっとプルンプルンに違いない!
ど、どうしよう、オレ、前かがみになっちゃって満足に戦えないかもしれない。
っあ、そういえば、オレ今、女なんだった。
くぅ、なんたるちあ!
え、他のやつら?
ワタシ、男に興味ないんです。
さてさて、皆さんお待ちかねのイベントですよ。
何かって?
馬鹿野郎! お風呂に決まってるだろうが!
まあ、オレは紳士だしぃ、ロリぃカラダなんて興味ないんだからね!
だからまあ、これは合法であって、そもそも今はオレのカラダだし、お風呂に入るのは当然であって……ふひひ。
そうして、オレがいざ! と、気合を入れたタイミングで、ガイアスの馬鹿が脱衣室に入ってきて、
「大変です、七候補の一人、シルフィーナ・ローレンツが戦争を仕掛けてきました!」
と、報告してきた。
……どうやら、サービス回はもっと先になりそうだ。