聖魔の爆誕!!
光が終わり、現れたのは二人の男女。
男の方は17歳くらいの金色の髪の青年。
もう一人はプラチナの髪をに空のように澄んだ瞳が特徴の女性。
初対面のはずなのに妙な既視感を感じる。
てか、男の方はメチャクチャ知ってるぞ。
「あのさ……もしかしてお前、ドラグニオスか?」
男の方に指を指して問うと、「もしかしなくてもオレだぜ!」と、あっさり正体を明かすドラグニオス。
まじかよ、てかどうして剣の姿じゃないんだ!?
それに対してドラグニオスはこの特殊な世界が影響しているとかなんとか。
それはさておき、こっちの女性は誰だろう? 確かオレの姿をした……ええい、めんどくさい、以下「健一」は確か母上って……ええっ!? 母上!?
「何をおどろいているんだ、ニア?」
「そうだぞ、母上に失礼だぞ」
ドラグニオスと健一の言葉でやっぱりそうだったと理解するオレ。
彼女は聖女アリシア、ドラグニアの母親だ。
「……ようやくこうして話す事が出来たわ、
これまでは聖女の能力「精神干渉」をよういてようやく言葉を伝えることしかできなかったから……」
彼女はそう言うとオレを抱きしめる。
この人もシルフィーナに負けずかなりのナイスバディーの持ち主なので、かなりの夢心地だ。
それを見て何やらドラグニオスのヤツがうらやましそうな顔をしているが気にしない。
「……おい、時間が無いんじゃないのか、お前たち」
健一がそんな場に突っ込みを入れ、ようやくアリシアも手を離し、話を進める。
「そうだったわね、ではニア、あなたを元の世界に戻す方法だけど、残念だけど私ではこの世界からだすことは出来ないの。
前回は精神の再交換ということでできたけど……」
アリシアの能力では精神を飛ばすことは出来ても、肉体ごと異世界に飛ばすことは不可能のようだ。
「だが、まだ可能性は残っているぜ、要はパワーだ、強大な力で次元の狭間をこじ開ければいい!」
いやいや、力でこじ開けろってそんなことできるわけが……
そもそもそんな力どこにも……
「そのためにこの場をもうけたんじゃねーか、なあ、アリシア」
「ええそうよ、ニア、受け取って、この『聖女』のちから……」
アリシアの身体から白い光の塊が現れる。
「オレからもこいつをくれてやるぜ!」
今度はドラグニオスから黒い禍々しい塊が現れる。
「さあ、ドラグニア、二人の思い、受け止めてやるがいいぞ」
健一が笑いながら、オレに言う。
……覚悟を決めろってか、分かってるよ、健一
オレはその二つを受け取った。
二つの塊は、あっさりとオレの身体に収まった。
そして感じる二つの力、聖と魔、相反するはずの二つが半魔のなかで、調和していく。
これがのちに聖魔王と呼ばれる、聖魔王ドラグニア・ランフォードの誕生である。
二人は力を託し終え、その体がゆっくりと解けていく。
「ニア、元気でな!」
「ニア、自分の道を貫きなさい」
そうして、オレと健一だけがボロアパートに残された。
「さてと、ワタシ――いや、『オレ』もそろそろ会社とやらに行かねばなぁ」
「そういえば、良かったのか、お前ってこの体にいたんだろ、この体に戻りたいとかないのか?」
「いや、ワタシは人の精神でその体に長くいすぎた、持たないんだよ、心が。
まあ、しいて言えばアルトゥーレとの決着をできれば着けたかったがな……」
そう答えると、笑って「がんばれよ」と言い残し扉に消えていった。
言われるまでもないさ、だってオレは――




