ティータイム
久々のドラグニアのターン。
でも今回は短めです。
レオンハルトとアルトゥーレたちが神界で激しい戦いを繰り広げていたとき、それを知らないオレたちが何をしていたかというと……
「よろしいのですか、決戦前だというのにお茶などしていても……」
ガイアスが心配して聞いてくる。
オレたちは今、城の庭でテーブルを置き、そこでつかの間のティータイムをしていた。
ガイアスの意見に対し、シルフィーナは優雅にティーカップから口を離し、「うふふ、相変わらず堅物ね、ガイアス」と言って足を組む。
うむ、まさしく女王様の貫録だ。
オレとしてはガイアス同様あまり落ち着いているのもどうかと思うのだが、シルフィーナいわく、この三世界すべてを巻き込んだ最終決戦では数より個、すなわちオレたち少人数で神界に乗り込む方が良いそうだ。
というよりレオンが強すぎて数で押すことに意味が無いらしい。
シルフィーナはかつて勇者レオンハルト・ドミニオンと戦ったことがるそうだ。
正確にはシルフィーナを含むかつて魔界で最強と恐れられた六魔将とレオンが、だが。
そのとき六魔将はレオンたった一人に敗北を期したらしい。
その戦いで六魔将はシルフィーナを残し全員死亡。シルフィーナクラスの魔人を六人も相手に勝利するなどとんでもないことだ。
その経験を踏まえての意見である、かなり信憑性があるだろう。
ゆえに今回はオレたち三人で神界で戦い、残りは防衛にあたることになった。
つまり、このティータイムは万全を期すためのものであり、決して「戦いとかめんどくせーなぁ」という気持ちではないのだ、決して!
「まあ、ニアちゃんがいるから負けはないでしょうけどね」
とはシルフィーナの言葉。
また、魔剣「ダーインスレイブ」改め、魔剣「ドラグニオス」も同意見らしく、
『まあ、オレもいるし負けはねーよ』
『オレの娘だしな!』と言葉を付け足して笑うドラグニオス。
うーん、本当に大丈夫か? たしかにオレの新魔法「邪神降臨」はすごい力だとは思うけど、大概ラスボスって変身を何個も隠し持っているのが定番だし……
こんな楽勝モードでやられたら恥ずかしぞ。
「むう、まあドラグニア様が勝つのは当然ではあるな……」
二人の説得に折れるガイアス。
まあ、そんなこんなでオレたちは決戦最後のティータイムを満喫したのだった。




