最後のかけら
最終章の開始です。
レオンハルトの三世界への宣戦布告から一週間が過ぎた。
レオンハルト――以下レオンの演説を見たドラグニオスは「やはりな」とつぶやた。
どうもロキのときと言い、こいつは妙に敵のことに詳しそうだ。
とりあえず聞いてみるか。
「なあ、あんたあいつののこと知ってるのか?」
『えっ!? い、いや~しらねーなぁ……」
嘘つけ、今ドキッとしたのがバレバレなんだよ。
「おい、今更隠し事はねーんじゃねーの?
結構まずい状況みたいなんだけど」
すると、うーんと唸って『でも、しかしなぁ』とぼやいている。
くぅ、思ったより口が堅い。
ならば!
「お願い、教えてお父様!」
『よーし、任せなさい!」
おう、試しにパパにお願いする娘風に頼んでみたら楽勝でした。
そしてドラグニオスの口? から語られる、レオンの野望。
それはこの三世界の中心に存在するという神々の世界「アースガルズ」に渡ることだという。
新しい単語だな、神の世界「アースガルズ」か……
「だが、そこに行ってどうするんだ?
そこに行くことが最終目的ってわけではないいだろ?」
『ああ……これはオレにも分からん。
だが、そこにある神種たちの残した神々の遺産を使えばあるいはやつの言うように三世界を滅ぼすことも可能かもしれねーな』
三世界を滅ぼすか……勇者レオンハルト、その名はたしかシンの話にも出てきたな。
なんでも聖女アリシアとともに魔王討伐の旅をしていたのだとか。
まあ、その途中にアリシアはこの馬鹿と結ばれたわけだが……
「ひょっとして、レオンが世界を滅ぼそうとしてるのはお前にアリシアを奪われたせいだったりしてな」
オレの何気ない一言に、ドラグニオスが「ドキッ」としていたのを感じた。
「おい、おいまさか……」
『さ、さて、今後の話をするか!」
マジかよ、こいつのせいで世界がヤバい。
気を取り直してドラグニオスの話に耳を傾ける。
ドラグニオスはレオンはすでに神界に渡ったこと、神界へ行くには最後のかけらが必要不可欠であることをすごくざっくりと話した。
オレがもうすでにレオンが世界崩壊のアイテムなりを見つけているのではないかと言うと、ドラグニオスは『その可能性もあるが、それはかなり低いだろう』とのこと。
どうやら神界は想像以上に広そうだ。
で、世界門の鍵。
魔界の鍵だけで神界まで行けるのか聞くと、普段なら不可能だが、レオンがすべての門を開いた今なら可能だそうだ。
つまりは最後のかけらが必須と言うことだ。
そんなわけで最後の七候補、アルトゥーレに会うため、ヤツの城にきたわけなのだが……
なに、このメイドインチャイナは!?
吸血鬼と言うから中世ヨーロッパみたいな屋敷をイメージしていたのにさ!
まあ、これはこれで威厳がある風格だが……
「よし、お前たち、準備はいいか!」
「かまわないわ」
「いつでも覚悟はできています、我が主よ!」
オレの言葉にガイアスたちが力強く答える。
頼もしいやつらだ。
オレは門を開いく。
そして、いた。中華風の衣服を纏った美丈夫が。
ヤツがアルトゥーレ・ルシファー、最強の吸血鬼だ。
 




