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聖魔の惨殺姫  作者: マシュマロ悪魔族
第二章 神々の黄昏
34/55

番外編 大魔導師シンの冒険 終

ようやく番外編終了!

次回から本編再開です!

「思ったより手こずったがこれで終わりだ」

「――くぅ、残念じゃがここまでか」


 シンとテュールの戦いはその後も激しい攻防が繰り広げられていた。

 魔法ではシンが、接近戦闘ではテュールがそれぞれ分があるようだが、総合的にはテュールが勝っているようで、徐々にしかし確実にシンは追い詰められていった。

 そしてとうとう膝を地に着けるシン。

 テュールがシンにトドメをさそうとしたそのとき、


「お師匠様――!!」


 閉じた扉が開き、その中から二人の男女が姿を現す、レオンハルトとアリシアである。

 その姿を見て、テュールの表情がはじめて驚愕に色を変えた。


「馬鹿な……

 まさか本当に封印を破ったというのか……」


 部屋の奥に封じられた「あれ」を解き放たれないように今まで守護者として君臨してきたというのに

……

 いや、まだ間に合う、解除されたばかりの今なら。

 剣を構え、レオンと対峙する守護者テュール。

 対してレオンのロングソードを構える姿には、先ほどとは違い落ち着きが感じられる。


 先に仕掛けたのはテュールだ。

 無詠唱の転移によって距離を無視した必殺剣で勝負を仕掛けるテュール。

 しかしその剣はレオンに見切られ、何もない宙を空振る。

 テュールは内心に発生した驚愕を押し殺し、続けて超絶剣舞を間髪入れずに舞う。

 しかしそれすら今のレオンには遅すぎた。

 レーヴァテインより得た知識はテュールの転移を見切り、その力は音速剣すら遅く感じさせた。

 レオンの剣がテュールを弾き返す。


「ぐぅ……この力、本当に『レーヴァテイン』の封印を解いたというのか」


 テュールがレオンに問う。


「封印……?

 ああ、それなら解いたよ」


 レオンの回答に歯ぎしりしながら剣を持った手に力を込めるテュール。


「愚かな……その力がどのようなものか貴様は知っているのか!?」

「知ってるよ、魔王を倒せる唯一の剣なんでしょ?」

「魔王を倒す……

 その剣はそのようなレベルの代物ではない!

 それは世界そのものを……」


 そのとき、火球がテュールに直撃する。

 アリシアの治癒の奇跡によって回復したシンだ。


「ほほ、わしを忘れてもらっては困るのぅ」


 絶体絶命。

 この圧倒的不利にテュールは最後の手段にでることにする。


「我が主よ、誓いを破ることをお許しください、

 エネルギー最大解放、パワー・オーバーロード!!」


 テュールの最後の手段――それは自らの生命活動と引き換えにした全エネルギーの超解放。

 かつて剣の封印を守る役目を主より任された際に禁じられていた彼の真の戦闘形態。

 一瞬のうちにシンを戦闘不能にするテュール。

 今の彼にとってシンは何の脅威にもなりはしない、敵はレオンただ一人。

 テュールとレオンの剣がぶつかり合う。

 そのあまりの衝撃波に神殿が崩れ始める。


「アリシア、お師匠様とともに神殿の外に出るんだ!」

「レオンは、レオンはどうするの?」


 アリシアの問いにレオンは「当然、あいつを倒すんだよ」と答える。

 アリシアはレオンの言葉を聞き、


「分かったわ、でも絶対帰ってきなさいよね!」


 と言い、シンとともに転移を発動しこの場を去った。

 それを見て、レオンは「これで心置きなく戦える」と笑みを浮かべる。

 レオンは手にしていたロングソードを放り投げ、右手を天に伸ばし、「神剣召喚」と叫ぶ。

 そして顕現せし神の剣、神剣レーヴァテイン。


「これが真に解放されたレーヴァテイン……

 だが、勝つのはこの私だ!!

 我が最終奥義を受けよ、ファイナルアビリティ『オメガ・サン・ドライブ』!!」


「僕はアリシアと誓ったんだ、必ず勝つと、だから負けない!!

 いくよ、聖剣技『聖炎絶衝斬セイクリット・フレイム・エンド』!!」


=============================================


「えっ! お師匠様も僕たちについてきてくれるんですか!」

「うむ、その通りじゃ!」


 あの戦いの後、ぼろぼろになって帰ってきたレオンに激怒したりとまあ色々あったものの、最寄りの町で戦いの傷を癒し、いよいよ町を出ようとしたとき、シンが旅に同行すると言い出した。


「私は構わないわ、実力は折り紙つきだし、これからのかけら集めのためにも戦力増強は必須だものね」

「じゃあ決定だね、よろしくね、お師匠様!」

「ほっほっほ、よろしく頼むぞ!」


 こうして大魔導師シンは勇者レオンハルトとともに魔王討伐の旅に出た。

 しかしその出会いすら、すべては絶望の運命の歯車の一パーツに過ぎないことをこのときはまだ誰も知る由もなかった。

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