VSシルフィーナ戦
オレは今、猛烈に感動している!
それは何故か分かるか?
……いいだろう、教えてやる。
それは、はちきれんばかりのボインボインナイスボディーの超絶美女が、これまた絶妙に見えそうで見えないギリッギリラインの胸元とスリットのドレスを着て、オレの前に現れたからだ。
このエロさ、間違いない、やつこそ淫魔族の女王、シルフィーナ・ローレンツに違いない!
などとオレが思考していると、
「ニアちゃーん!」
と、これがマンガやアニメであったらハートマークがいくつもでるに違いないほどの勢いで、おねーさんがオレに飛びついてきた。
むぎゅー、ぽいんぽいん。
美女の抱擁によってオレの顔面は二つのメロンに挟まれてしまう。
オレがこれまで感じてきた感触で、ここまで極上のものがあっただろうか、いや、無い!
これが男としては一度も経験できなかった、女体の感触か……
これで死ねるなら本望というものよ、我が生涯に一片の悔いなし!
そう思い、オレが拳を天に突き出そうとしていたら、遠くから「姫ー」という声とともに筋肉男がこっちに突進してきた。
おねーさんはそれを涼しい顔でひょいっと避けてみせるが、それによってオレを放してしまった。おのれ、脳筋め……
「シルフィーナ、貴様、我が主に無礼を働いて、死ぬ覚悟はできているだろうな!」
「あらガイアス、わたしの名を呼ぶときは、「シルフィーナ様」って呼ぶように言ったはずだけれど、いつからあなたはそんなに偉くなったのかしら?」
激怒しながら話すガイアスに対し、シルフィーナのほうはずいぶんと余裕な表情だ。
つか、この二人、どういう関係だ?
あまり友好な感じは無いけど。
オレがしばらく様子見に徹していると、
「だまれ、今日こそは貴様に引導を渡してやるわ!」
「できないことは言うものじゃないわよ、ガイアス。
あなた、そう言って何度もわたしに敗れたの忘れたのかしら?
これだから筋肉馬鹿って嫌いなのよ」
その言葉を合図に二人の戦闘が始まった。
オレとの戦いの時と同様に拳主体の格闘技で戦うガイアス。
それに対し、シルフィーナはどこからともなく出現した鞭を変幻自在に操って対応する。
剛のガイアスに対し、柔のシルフィーナ。
ガイアスのすさまじい猛攻もシルフィーナは余裕の表情を崩すことなく対処してみせる。
次第に劣勢になるガイアス。
「くぅ、爆裂パ――」
「あまい、攻撃が単調すぎるわよ」
技をだそうとしたガイアスを、逆に技を放つ一瞬を狙い、鞭を巻きつかせ、動きを封じてしまうシルフィーナ。
やばいぞ、このねーちゃん、メチャクチャ強いじゃん!
「ガイアス、わたしね、すごく怒ってるの。
いい、ニアちゃんはね、孤高なの、孤高であるからこそ美しいのよ。
あなたのような野蛮人が手を出していい相手じゃないのよ、分かってる?
ああ、わたしのニアちゃん……
可哀そうに、わたしが至らなかったばかりにこんなゴミがまとわり付いちゃって。
ごめんね、今、汚物を消毒するから」
そう言いながら恍惚な表情を浮かべるシルフィーナ。
はっきり言ってかなり、危ない人です。
って、今はそんなことより、このままじゃガイアスのやつ死亡確定じゃん!
「あのそこまで……」
「うわあああああああああ!!」
「ひいいいいい!」
「へ、蛇だ、蛇の化け物だあああ!?」
オレがシルフィーナを止めに入ろうとしたタイミングで、戦場の方から悲鳴がこだまする。
シルフィーナたちも戦いを中止し目を向ける。
すると、そこには山のように巨大な大蛇が暴れていた。




