#3 始まりは突然に(3)
学園長からの通達をうけた翌日。
どうしても納得できなかった俺たちは職員室の扉を叩いた。
入ってきた俺たちを見るなり,顧問の先生は小さく息をつき,接待スペースへと俺たちを手招きした。
椅子に座るや否や,キャプテンが口を開く。
「あんな理由でいきなり廃部にするなんて,納得できません」
「そうは言っても,事実だ。今のままではお前たちは公式戦に出られない。そんな部活を存続させても仕方無いだろう。学園長の判断は,間違いじゃない」
「それは…」
すぐに昨日と同じような内容で言い返され,言葉に詰まるキャプテン。
このままでは,どうにもならない。
昨日と同じように無理矢理に説得されて終わりになってしまう。
それでも,それでは困るのだ。
「…この件の最終的な判断は学園長にあるんですか?」
「それは……そうだな」
「木嶋?」
キャプテンに代わりいきなり口を開いた俺を,メンバーが不思議そうな目で見る。
そんな中,俺は先生をしっかりと見て続けた。
「なら,学園長と話をさせてください」
「お,おいちょっと…」
「………」
続く俺の言葉に驚くメンバー。
しかし目の前の先生は動じない。
むしろ,どこか納得したような顔で俺を見ている。
「それでダメなら諦めます。だから,お願いします,先生」
「……分かった。少しだけ待っていろ」
頭を下げる俺を見て,先生はそう言ってゆっくりと頷くと,学園長室へと向かった。
「……?」
その表情に,どこか安堵したような笑みが一瞬浮かんだ様な気がした。
しかし,学園長室に向かう先生の背中を見て,いやいや,そんな馬鹿なと思い直し首を振る。
だってそうだろ?
もし浮かべるとしたら,面倒な生徒を相手にする苦々しい顔か,呆れ顔のどちらかのはずなのだから。
「学園長が話をしたいそうだ。木嶋だけ,一緒に来い」
しばらくして戻ってきた先生の第一声には,俺を含めたメンバー全員が驚いた。
理由は,まず学園長が俺たちの話を聞いてくれるという事
それともう一つ,なぜキャプテンではなく俺が選ばれたのかという事。
「俺だけ…ですか?」
当然の疑問に対して,先生は何も言わずに頷いただけだった。
一瞬の迷いはあったが,選択肢は一つしかない。
ここで行かなければ,全員でここまで来た意味がなくなってしまう。
「わかりました,行きます」
「木嶋…」
心配そうな表情を浮かべるメンバーに,大丈夫,と眼だけで合図し,俺は先生の後を追った。