幕間 最後の作戦(2)
残り5分を切った所で霧ヶ原のタイムアウト。
今の点差と光の性格を考えれば,ここで何か大がかりな事をやってくるだろう。
「………」
光には悪いが,ここまでは予想通り。
どれだけ差を広げようと,彼女が諦める訳がない事は知っている。
そんな彼女が,ここに来て何の作戦も準備していないなどありえるだろうか,いや,そんな訳がない。
必ずこの状況からでも挽回できる作戦を準備しているだろう。
「でも,ごめんね…」
残念ながら,私には彼女が考えているであろう次の作戦も手に取るように分かる。
その理由に関しては,決して私の力ではなく単なる偶然が重なっただけだが,それでも知ってしまった以上は対応しておかない訳にはいかない。
だからこそ,万が一こんな状況になった時の為の練習も積んできたし,使えるカードも用意しておいた。
「雫,ここからどうする?」
私の意思を確認するように,真奈美が声をかけてくる。
もちろん,私の気持ちは最初から変わらない。
「作戦に変更はないわ。聡美,行けるわね」
「うん,大丈夫」
私の言葉にすぐ返事をくれるのは背番号18番,川田聡美。
彼女はこの時の為に準備しておいた,こちらが出せる最高のカード。
「じゃあ,お願い。
――霧ヶ原の11番を,徹底的にマークして」