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ダンマネ!  作者: SR9
第一章 インターハイ編
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#126 意外な結果


 タイムアウト終了後,作戦通りトップ位置で風花がボールを持つ。

 こちらがポジションを変えても相手のディフェンスは変わらず,天王寺先輩に4番が,風花に10番がつく形になる。

 天王寺先輩をあそこまで苦しめた10番なので,てっきりそのまま先輩についてくるかとも思ったがどうやらそうではないらしい。

 もしかすると,先輩専用ではなくポイントガード専用みたいなものなのだろうか。

 もしそうだとすれば,まだ先輩に実力が劣る風花に任せてしまったは荷が重かったかもしれない。


 祈るように見つめるその先で,しかし,風花は簡単に神崎先輩へとパスを通して見せた。


「…あれ?」


 神崎先輩もギリギリ取れたそれがベストなパスかどうかはさておき,今まであれだけ完封されていた相手からパスを通したという事実は変わらない。

 パスを受けた先輩も驚きながらすぐにシュート。

それが今日の初得点となった。


「ナイスパス!」


 戻り際先輩達に肩を叩かれる風花だが,その表情を見るに一番驚いているのはきっと本人だ。

 でも,理由はどうあれ1点は1点。

 これを反撃の狼煙にするのだ。


「美空! 絶対止めろよ!!」

「分かってる!」


 交代を機にこちらのディフェンスも少し位置を変える。

 文香がマークしていた6番を神崎先輩が,先輩がマークしていた10番を風花が見る。


 ここまでは6番ばかりが活躍していたため,10番の攻撃は未知数ではあるが,それを差し引いてもまずはあのスリーを止めないと勝負にならない。

 体格面でも技術面でも神崎先輩の方が風花よりは優れているということで,この形になった。

 ずっとゴール下にいた選手が突然目の前にやってきて,相手の6番も少しは驚いているはずだし,もともと先輩はフォワード,この位置でのプレイが初めてという訳ではない。


「………」


 その証拠に,今までなら何の躊躇いもなくシュートにいっていた6番が,この試合で始めて自分では行かずにパスを選択した。

 そのパスは5番に通り,白山先輩のディフェンスも何とか粘ったものの最後にはシュートを決められてしまった。


 だが,今はこれでいい。

 相手に安心した攻撃をさせないという事が今はとにかく重要なのだ。


「気を取り直して1本返しましょう!」


 そして再びこちらの攻撃。

 先程は上手くいった風花の攻撃,あれがただのまぐれなのか,それとも別に理由があるのか,この1本でそれも分かる。

 でも,そんな緊張は一瞬。

 パスを警戒していた相手の意表を突いたドリブルで風花は10番を軽々とかわし,カバーが来る前にそのままシュート。

 これは惜しくもリングに弾かれるが,ゴール下で陣取っていた白山先輩が上手くボールを弾き,ボールは天王寺先輩の手の中へ。


「……ようやく,この形になったわね」


 しっかりとボールを掴み,天王寺先輩は獰猛な笑みを浮かべる。

 目の前に立っているのは,こちらも薄い笑みを浮かべている4番,上月さん。

 先輩が不安になると同時にとても楽しみにしていた対決が,今ここでようやく実現するのだ。




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