第8話『プロトタイプ』
今回でフェイズ1の最終回となります。色々と伏線が残っている展開での完結となりましたが、その辺りを含めてフェイズ2までお待ちいただければ…と思います。
※この作品はフィクションです。地名は一部が実名になっておりますが、実在の人物や団体等とは一切関係ありません。一部でノンフィクションでは…と突っ込まれる要素もあるかもしれませんが、フィクション扱いでお願いします。あくまで虚構という方向で…。
※コメントに関しては『ほんわかレス推奨』でお願いします。それ以外には実在の人物や団体の名前を出したり、小説とは無関係のコメント等はご遠慮ください。
※イメージレスポンス、挿絵等も随時募集しております。プロフィールにも書いてありますが、特に早いもの勝ちではありません。お気軽にお問い合わせください。
※第8話もpixivと同日投稿になっております。
※タイムリーネタや直球ネタ等が存在しますので、肌が合わない方はご注意ください。
西暦2016年4月9日午前9時、ある情報番組で超有名アイドルの芸能事務所で強制捜査が行われたというニュースが流れた。
ニュースの内容は、3月頃から写真週刊誌によってスクープされていた一連のCDチャート不正操作に、大手芸能事務所が介入していたという物らしい。
この時に警察が入手した資料はロードデュエルを予想外の展開へ導く、禁断の箱となったのである。
超有名アイドルだからと言って、何をやっても許される物ではない。それを実証するようなニュースになったのは間違いないだろう。
(あるニュースを見た週刊誌記者のつぶやきを受けて、書かれたと思われる文章より)
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超有名アイドルと日本政府は裏で組んでいたらしいという話は、西暦2010年近辺でも言われていた。
しかし、この当時はネタ程度であしらわれる事が多かったらしい。この状況が一転したのは西暦2012年を過ぎた辺りだった。
裏で組んでいる事が証明されたのは、間違いなく一連の脅迫事件だろう。芸能事務所側の主導で行われたような形跡があるように思える。
超有名アイドルグループこそ駆逐すべき存在であり、彼女たちを放置する事は日本経済の終焉を意味しているだろう。
超有名アイドルは世界をゆがめ、やがては世界経済を崩壊させる悪魔の力になるのは間違いない。
だからこそ、口パクや事実の改ざん、超有名アイドルファンの行動が無罪放免(あるいは英雄的行動)とされる世界を実現させないための法整備が必要である。
それが『超有名アイドル規制法案』だ。詳しい事は書かなくても、この単語だけを見ればどの勢力にとって効果が絶大なのは分かるだろう。
超有名アイドルを有する芸能事務所に対して大幅な規制、超有名アイドルファンの暴走行為を放置した場合には該当の芸能事務所に対して解散命令を出せるという超有名アイドルキラーとしての法案だ。
これを実現させなければ、超有名アイドルはあらゆる兵器よりも恐ろしい存在になるのは間違いないだろう。
(某作品の脅迫事件に関するスレからの引用によるテンプレ文章。しかし、オリジナルから一部の文章が削られた上に改変の跡がある。その為、文章としては矛盾する個所も存在している)
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アカシックレコードと言う単語を調べてみたが、オカルト的な要素が大きいらしい。大規模WEBデータベース的な意味で取り上げているサイトは見当たらなかった。
ガーディアンの情報網や技術は明らかにアカシックレコードに由来する物が―。
(何かを発見したと思われるユーザーのつぶやきより。このつぶやきは、数時間後に削除されたようだ。現在はアーカイブが残っている)
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超有名アイドル商法を経済大国へ進出させ、財政から支配力を固めようという嘘のような話も計画されていたらしい。
しかし、これが政府主導なのか芸能事務所主導なのかは誰も知らない。
大量にCDやグッズを購入させ、海外のチャートで1位を取ると同時に日本へ売り上げの一部が流れ、更には―と言う物だが、信用できるソースがあるのか疑問に残る。
それ以外にも超有名アイドル関係は政府が『他国に利用されて日本のバブル崩壊を誘発する』と言う理由で情報を公開していない。
これが、最近になって噂されている―。
(超有名アイドル商法を考察した記事より。しかし、これより先のリンクは404表示で閲覧が出来ない)
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闇のアイドルを商法等で利益を上げている超有名アイドルと言う例えは有名だが、光のアイドルは何が該当するのか?
未だに、この一件に関しては解決策が出るような気配はない。
(ある人物のつぶやきより。書き込みされた日は、西暦2016年4月8日である)
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BL勢は本当に衰退した訳ではない。実際は、超有名アイドルを駆逐する為に力を蓄えているのが正解だろう。
しかし、セイバーロードや他の勢力は超有名アイドルだけではなくBL勢も敵視しているように見える。
その理由は簡単だ。彼らを放置すれば超有名アイドル以上の損害を生む事になるからだ。
それを証明したのが、一連の某作品に対する脅迫事件、BL勢ファンによる暴走とネット浸食、本来はBL作品ではない物を自分達の勝手なイメージでBLにするという改変、挙句の果てにはBL勢による2次創作小説が多数の小説サイトのランキングを独占、こうした行き過ぎた行動は超有名アイドルと同じであるとネット上では避難の嵐となっていた。
アカシックレコードは《賢者の石を振りかざす超有名アイドル、自分達のイメージが公式よりも偉大だと考えるBL勢》を全て駆逐しなければ、コンテンツ業界は正常に機能しないと考えているらしい。
その2大勢力以外にも問題視されている勢力は複数目撃されているが、それらはコンテンツマナーやモラル学習等でフォローをする事が可能と考えている事がセイバーロードの教育プランで明らかになっている。
実際問題として、2大勢力を駆逐した所で何が変わるのか? 超有名アイドルは国会主導で優遇されている話も存在する中で、何をセイバーロードが変えようとしているのか?
どちらにしてもBL勢が引き起こした事件をきっかけにして、1次創作のオリジナル作品にスポットライトが浴びないという状況はあってはならないのである。
オリジナル小説オンリーのサイトではランキングもBLに独占されず、さまざまな作品がランキング入りをしているが、その傾向は一定の法則に当てはまるだろう。
こちらに関しては異論を唱える者もいるが、BL勢支配とも取れるようなランキングに比べると些細な問題だと考える者もいるらしい。
(ある虚構記事を見て書かれたと思われるネット記事)
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超有名アイドルのプロデューサーがとある役職と仮定すれば、彼の都合で全てが動くにも納得が出来る。
しかし、悪意に満ちたような力を振りかざせば、それは超有名アイドルと同じなのは間違いない。
悪意に満ちた力は超有名アイドルに反映され、ありとあらゆる世界に干渉するとアカシックレコードにも書かれている。
結局は、炎上させて注目を浴びるという手法でしか問題提起が出来ないのか。
そうした流れが《腐の連鎖》を生み出す流れを作ってしまったのは間違いないと思う。
(ネット上のつぶやきより。書き込みされた日は、西暦2013年12月6日。ただし、一部文章は改変されている)
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西暦2016年4月9日午前11時、瀬川榛名は学校近くのアンテナショップでコーヒーを片手にある資料を調べていた。
「どうやら、別勢力の内部にもガーディアンをもぐりこませる結果になったみたいね」
彼女の調べていた資料、それは門外不出と言われていた某作品の脅迫事件を生み出す事になった、一連のスレだった。
「それに、ガーディアンはセイバーロード以外にも別エリアの特区へも進出しようと足固めをしている。それが、この閲覧制限をかけた記述にも―」
こちらに関しては、公開はされていたのだが厳重に検索避け等が施され、更にはセイバープレートをはじめとした端末では閲覧できないという部分も発見が遅れた理由だろう。
【世界の真実はアカシックレコードに書かれているだけの物とは限らない】
閲覧制限のロックを解除しようとした瀬川が見た警告にも似ている謎のメッセージ、それは警告と言うよりは偽りの世界を意味しているのではないかと考えていた。
「アカシックレコード。その真相は、何処に隠れているのか」
瀬川は疑問に思いつつも、該当するスレを閲覧する。そして、某作品による脅迫事件が起こったバックに暴走するファンの存在を確認した。
(やっぱり。BL勢が超有名アイドルに踊らされていたのは嘘なのか、それとも別の理由が―?)
それでも、発見した情報は一部が復元されておらず、改変をされた部分を断定する事も出来ていない。復元を放置している事には何か理由があるのだろうか。
「ガーディアンの目的が学園都市群の情報管理という話は判明しているが、他に何があるというのか」
その情報を探ろうかと考えていたのだが、セイバープレートを通じて流れたのは緊急を示すインフォメーションメッセージだった。
《未確認勢力接近中! 現場へ急行できるセイバーは該当個所へ急行せよ》
同刻、さまざまなエリアで交戦しているプレイヤーのセイバープレートにも同様の緊急メッセージが流れた。
「よりにもよって、このタイミングか」
スーツを修復中と言う状況だったのは、メットを被って正体を隠すクー・フー・リンだった。どうやら、アンテナショップに立ち寄って修理を依頼している途中にメッセージを受け取ったらしい。
「セイバースーツは汎用スーツを除いてはワンオフ扱い。致命的なダメージによるオーバーホールであれば、10分もしないで修理可能だ」
ノートパソコンを片手にスーツデータを検索していたのは、アンテナショップの男性スタッフである。クー・フー・リンのセイバーアーマーは、セイバーガジェットの集まるコンテナエリアがある運営本部に送られていた。そこで、修理なども行われる。
「ランカーのセイバースーツやガジェットとなればパーツストックがアンテナショップにおいてある可能性が低いのは、ランカーの間であれば常識だと思うのだが―」
スタッフの言う事にも一理ある。ランカー専用のセイバーガジェットとなれば、そのパーツのレアリティも相まって盗難事件も起こる位だ。今はアーマーの修復を最優先にしなければいけない。
同日午前11時10分、メッセージを受け取って該当エリアへ向かっていたのは松鶴イオリである。イオリの方はパワードスーツが故障をしていた為に代用スーツを使用しているのだが、こちらに関しては予備パーツも入荷待ち状態になっていた為だ。
「もうすぐ、該当のエリアに到着するみたいだけど」
イオリは何時も使用するセイバーボードとは違い、今回はエアバイク型のセイバーボードを使用している。エアバイクにはナンバープレートに当る物は付けられていないが、セイバープレートが一種の運転免許として認められており公道を走る事が可能となっていた。
「着いたみたいね。でも、何かがおかしい―」
現場に到着したイオリだったが、その時には既に周囲からは大歓声が響いていた。観客の隙間から見えたのは、道路に落ちていたセイバーガジェットの右腕と思われる物だ。これは相手によって切り落とされた物だろうか。原形をとどめているのが非常に不思議である。
「セイバーガジェットにほとんど傷がない?」
セイバーガジェットはARに代表されるような特殊なCGを駆使して、画像が表示される演出で観客を魅了している一種のバーチャルゲームの類だ。ガジェット同士でぶつかり合えば、多少でも傷は付くはずである。しかし、その現象も起きない例外が存在する事がネット上でも確認されている。それは、チートを使用している事。
「未確認勢力、それはグレーゾーンを利用して無限とも言えるような利益を生み出そうとする錬金術を完成させている!」
イオリは一方のセイバーアーマーから聞こえる声に聞き覚えがあった。トリコロールカラーのアーマー、厳重封印指定がされているはずのエクスカリバーも観客の隙間から確認できる。つまり、そう言う事だった。
「それは賢者の石とも言われている日本経済だけではなく世界経済さえも一瞬でバブル崩壊、一気に闇へ陥れる事も可能な禁忌のノウハウだ!」
次の瞬間、エクスカリバーは指をパチンと鳴らして周囲のモニターに何かを投影させたのである。それは、セイバーロードの住民が見た事もないようなアイドルのプロモーションビデオだった。
「超有名アイドルの宣伝は禁止されているはずだ!」
「ガーディアンに急いで通報しないと」
「よく見れば、このアイドルは実在しないアイドルだ!」
「だからと言って、アニメやゲームのアイドルでもない。このアイドルは一体?」
周囲の観客もプロモを見た瞬間にアイドルの宣伝と判断したり、ガーディアンへの通報を考えた人物もいた。しかし、落ち着いて映像を確認するとプロモに映し出されていたアイドルは存在しないアイドルだったのである。
【あのアイドルって、何処かで見たことないか?】
【アカシックレコードと言う存在に、さまざまなアイドルのデータベースがあるという話だが―】
【もしかすると、あの映像のアイドルは別の世界に存在するアイドルと言う事なのか?】
【だとすれば、エクスカリバーは何を訴えるつもりなのか】
【どちらにしてもセイバーロードを混乱させようという存在をガーディアンは許さないだろう】
【しかし、セイバーロードの外では超有名アイドルが国会へ進出と言う噂も流れている】
【超有名アイドルによる全世界掌握も、近い内に実現するというのか?】
【結局、どの世界でも同じ事が起こる可能性は否定できないのか】
ネット上では更に混乱しているような状態になっていた。彼らは共通して、アカシックレコードの記述が関係していると話をしている。
「もう一度だけ言う。超有名アイドルが行おうとしている事、それは日本経済を救う事ではなく超有名アイドルプロデューサー1名による絶対支配だ!」
そして、気が付くとエクスカリバーの姿は消えていた。映し出されていた映像の方も元に戻っており、謎が謎を呼ぶような流れとなっていた。
イオリが現場に到着する5分前、午前11時5分、そこには超有名アイドルファンを名乗るポセイドンというネームのプレイヤーが暴れまわっていたのだ。
『そんなバカな事があってもいいのか? 俺はランカーだぞ!』
ポセイドンと最初に交戦をしていたのはランカーの一人であるワイバーンだった。アーマーの随所で損傷しており、ガジェットの破壊力が恐ろしい事を物が立っている。
〈ランカーだろうと関係はない。俺は超有名アイドルを全ての世界へ広める為の神となったのだ!〉
ワイバーンや他のセイバーアーマーが小人に見える程の大型ガジェットであるポセイドン、その全長は10メートル以上に及ぶ。しかし、これはARで再現されたCGに過ぎないのだが、それに気づかない観客や一部のプレイヤーは驚きの表情をしていた。
〈超有名アイドル以外のコンテンツは不要だ! 国会が超有名アイドルに対して資本投資を行っているが、他のコンテンツでは一切行っていないのが証拠になる!〉
『国会が介入していないから他のコンテンツが不要? だったら、BL勢力のような暴走を止められなかったのは他のコンテンツの責任だと言うのか?』
〈BL勢力は初めから敵とはみなしていない。あれは単なる超有名アイドル以外の勢力を炎上させる為だけの道具に過ぎない〉
『炎上だと! まさか、最初からBL勢を放置したのは―』
ポセイドンとワイバーンの議論が続くのだが、お互いに何かを隠したかのような矛盾した発言に周囲の観客も話についていけない状態になっている。
午前11時7分、その状況を見て超高速で姿を見せたのは、何とエクスカリバーだったのだ。これは、一体どういう事なのか?
「どうやら、向こうが本腰を上げて進行を始めたようだな」
超高速モードを解除し、エクスカリバーはオーバーリミットウェポンを構える。それと同時にとあるコマンドをセイバープレートに入力し、ポセイドンに向かって突撃を開始した。
「下級ランカーには用はない。ターゲットは、ポセイドンのみ!」
《アカシックレコード・アクセスモード、起動》
突撃を開始したと同時にエクスカリバーのセイバーアーマーが青く輝きだし、ポセイドンの大型アーマーと思われた半数以上のパーツが消滅したのである。周囲の観客が気が付くと、ポセイドンは他のセイバーアーマーと同じ全長になっていた。
〈貴様、何をした?〉
「それを説明した所で、お前には何も得にはならない」
〈損得勘定ではない! 何故、こうなったのかを説明しろと言っている〉
「どうしてもと言うのであれば教えてあげよう。こいつの力だ」
ポセイドンが今の状況を理解できず、エクスカリバーに事情を聞き出そうと考える。そして、エクスカリバーはオーバーリミットウェポンを更に展開、その光景はロングソードから青い光が放熱されているようにも見えた。
〈まさか、オーバーリミットウェポンのチート無効化能力か?〉
「チート無効化は知っているようだな。しかし、これはチート無効化とはケタが違う。この力はありとあらゆる事象を変化させる事が出来る禁断の力―」
全てを話す前にエクスカリバーは剣を振りかざし、ポセイドンの持っていたトライデントを弾き飛ばした。飛ばされたトライデントは手を離れたと同時に消滅、それが実はARで実体化していただけの武器だという事が分かる。
『今度こそ貴様の首を貰い受け――何っ!?』
ワイバーンが漁夫の利を得る為にポセイドンへと接近しようとしたが、次の瞬間には何者かによってガジェットを撃ち抜かれ、能力が無効化されていた。ガジェットを撃ち抜かれたワイバーンはその場に倒れるが、気絶をしているだけである。
午前11時9分、エクスカリバーのオーバーリミットウェポンの光が大きな剣となり、その高さは10メートル近くまで巨大化。大型化したエクスカリバーを支えられる事自体がチートに近い行動なのだが、それに周囲の観客を含めてツッコミをするような気配はない。
「負の連鎖を断ち切り、全てのコンテンツ業界を正常化させるためにも、超有名アイドル商法はここで断つ!」
その言葉と共に、エクスカリバーはオーバーリミットウェポンを振り下ろしてポセイドンの右腕を切り落とした。切り落とされた右腕は道路に落ちたのだが、衝撃で道路に傷が出来る訳でもなく、まるでトランポリンの上に落としたかのように跳ねてから道路に落ちたのである。
〈超有名アイドルのプロデューサーは神だ! その神に刃を向けるという事は―〉
「全ての世界を手中に収め、自分にとって不都合な事実だけを隠そうとする超有名アイドルプロデューサー。彼を行っている事はファンタジー世界で言う所の魔王その物だ」
〈しかし、そうでもしなければ日本経済は救われない〉
「超有名アイドル商法を世界中へ輸出し、全ての国から資本力を奪い取る事が日本経済にとってプラスなのか?」
〈そのような事はあり得ない!〉
「超有名アイドルプロデューサーとは仮の姿、彼の正体こそが日本の総理大臣ではないのか?」
ポセイドンはエクスカリバーの最後に言った一言を受け入れることなく、その場に倒れる。システムが停止した為だと思われるが、それ以上に別の問題もあるだろう。
午前11時11分、ネット上には超有名アイドルプロデューサーのフェンリルがアイドルグループの公式ホームページを更新し、こう宣言した。
【我々は国会とは全く関係はありません。一部で広まっている日本経済の話、超有名アイドルによる日本支配等の話題は全て作り話です】
【一部の炎上系サイトやアフィリエイト系サイト、そうした勢力に所属する者のの言葉に惑わされる事で、我々の活動規模は縮小されるのは明らかでしょう】
他にも色々な注意事項も書かれていたのだが、そのほとんどは先ほどのエクスカリバーが発言した内容を否定している物だ。
「果たして、これを受け入れるかどうか―」
人混みから離れた場所でスマートフォンでホームページを見ていたのは、制服姿の秋雲ほむらだった。スマートフォンで確認していた理由として、セイバープレートでは超有名アイドルの情報を確認する事が出来ないからだ。
「どちらにしても、エクスカリバーが起こした行動は超有名アイドルにとっても、都合が悪い物だったのは間違いない」
何かを確認したほむらは、すぐにその場を去った。その後、ほむらとすれ違いになるような形でガーディアンが姿を見せたのは気のせいだろうか?
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同日午後1時、芸能事務所ビル内でニュースを見ていたのは狼の覆面に背広という人物、フェンリルだった。
『全ては、これから動き出す。待っているがいい、ガーディアン―』
彼の狙いが何なのか、それはまだ分からない。しかし、覆面に隠されて表情を確認する事は出来ないが、確かに彼は笑っているようにも見える。
『超有名アイドルこそが正義なのだ。それ以外は排除しなくてはならない』
フェンリルが手に入れたパソコンの情報ファイルの中には謎の文章が存在していた。その中にはアカシックレコードに関する記述も確認出来る。
『お前達だけがアカシックレコードにアクセス出来るとは限らないのだ。それを、これから証明する時だ』
そして、ノートパソコンのモニターに表示されたのは、アカシックレコードに存在したと思われているARゲームで使用するパワードスーツの設計図だった。
その設計図には、チートとは全く別のシステムを使用している事も書かれているが、一部の文字に関しては解読が不完全らしく、文字化けをしている個所も存在していた。
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超有名アイドルとセイバーロードの争いは、新たな勢力を巻き込んで拡大をしてしまうのだろうか。
我々はリアルウォーを起こそうという考えは持っていない。ARゲームで血が流れるような自体になれば、それこそコンテンツ業界に激震が走るのは間違いない。
ARゲームの表現幅に《ガイドライン》が必要な個所があるのは認めるが、下手に範囲を広げる事は表現の自由や想像力を強化する為の力を狭めるような事態を生み出す懸念も存在する。
この戦いが、そのような悲劇と腐の連鎖を生み出す存在にならない事を祈るばかりだ。
(このつぶやきは意図的に書きかえられた形跡は存在しない。しかし、この内容は世界線を越えたとしか考えられない―そんな内容だった)
《フェイズ1:コンプリート》