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王宮を襲った神の矢!

 俺たちは校舎の裏から続く山の中腹にある秘密の練習場を後にした。

 細い道が山の木々の間を縫うようにして、学校の敷地の裏に続いている。俺と神山先生が落ち葉を踏みしめる音と、小鳥のさえずり、風にそよぐ広葉樹の葉がすれ合う音だけが、俺の耳に届いていたが、徐々に人の気配を感じさせる音が混じり始めた。

 木々の隙間からのぞく、校舎の姿が大きくなってきた。もうすぐ学校にたどり着く。

 学校は普段からざわめかしいが、風が運んでくる学校の気配は何かが違う。

 笑い声。談笑。部活の声。普段のそれらとは何かが違う。

 生徒たちの急ぐ足音。緊張した声。


 「何か変じゃないですか?」


 そう言って、神山先生に視線を向けようとした時、俺の視線は見事に空振りした。神山先生はすでに学校目指して、駆け出しはじめていた。俺の横を駆け抜け、ブラウンの髪の毛を揺らして、学校を目指していく後姿につられて、俺も走り出す。

 むき出しの土はところどころ湿気を帯びて、ぬるぬるして足を滑らせようとする。何度か「おっと」と声を上げて、体勢を立て直しながら、細い道を駆け下りて行く。

 校舎から出て、生徒たちがぞろぞろと出てきて、正門を目指している。校舎内にいた生徒たちが、一斉に下校を始めた。そんな感じだ。校庭からは部活中の生徒たちが校舎を目指している。

 俺は加速して、足を速めた。ぬるぬるした地面には気をつけなければならないが、そうでなければ地球の引力に身を任せれば、速度はかなり出る。ますます近づいてくる学校の裏門。開け放されたままの裏門をくぐり、中に入った。

 鞄を持って正門に急ぐ生徒を一人、俺は捕まえた。突然、肩をつかまれ、ちよっと驚いた表情で振り向く生徒。


 「ごめん。何かあったの?」

 「あ、ああ。王宮の城壁内にアカサカから神の矢と言う攻撃があったんだそうだ。

 なんでも、狙ったところを攻撃できるアカサカの魔具らしい」


 まじかよ?

 アカサカは一体どんな魔具を持っているんだ?

 俺はその時、一つの仮説に思い至った。竜騎士もあの鎧を着たアカサカの兵たちも、とんでもない耐魔法能力を備えているが、その敵の数はイズモには竜騎士しかいないのに、アカサカには多くいて、また新たな魔具である。竜騎士に占領されたイズモがアカサカを支配下においているのではなく、逆に竜も竜騎士も裏で操っているのはアカサカではないのか?

 すると、全ての敵はアカサカと言う事になる。


 「東山君。今から王宮に行くわよ」


 俺がそんな事を考えていると、背後でとんでもない事を、買い物にでも行くかのような言い方で言う声が聞こえてきた。振り返ると、神山先生が足早に俺のところに向かってきていた。


 「あのう?王宮ですか?」


 王宮。俺たちの街から遠く離れていて、歩いて行けば何日もかかる。馬と言う手もあるが、俺は馬には乗れない。他にもいくらか時間を短縮できる魔法はありはするが、それでも買い物に行くのとは必要となる時間が違いすぎる。

 いや、それ以上に、俺たちが入っていい場所なのか?

 呆けた状態の俺を見て、神山先生が言葉を付けたした。


 「王様があなたを呼んでいるのよ」

 「はあ」

 「行くよ」


 そう言ったかと思うと、神山先生は風の魔法で、俺と二人の体を浮かすと、一気に王宮をめざし始めた。

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