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殲滅成功

 炎撃渦が造りだした渦巻く炎の中には、数多の炎撃弾が含まれている。

 この渦に触れただけで、人間なら命を落としてしまう。

 奴はどうだか知らないが、このまま接近して渦に巻き込んでやる。

 その思いで、一歩一歩近づいて行く。


 「くっくっく。そんなもので俺に勝てると思うているのか?」


 奴の声が炎の向こうから聞こえてくる。


 「雷撃嵐」


 俺が今攻めてきている敵の部隊に使いたかった魔法を使ってきた。

 数多の雷撃が休むことなく、敵を襲う呪文だ。

 俺を取り囲む炎の渦の中に有る弾を次々に雷撃が撃ち落して行く。

 ただの炎だけでは奴は倒せない。

 奴はそう思っているはずだ。

 だが、俺はこんな技で奴を倒そうなんて、思っちゃいない。

 奴も火天と同じだ。

 自分の力に驕り、その先を読もうとしていない。


 「風制浮」


 俺は燃え盛り渦巻く炎が発する音にまぎれて、呪文をとなえた。

 風が起こり、空気が俺の足元に集中し始めると、ゆっくりと俺の体が浮き始めた。

 俺の体が浮き始めるに従い、炎の渦は地上付近から、勢いを弱め消え始めている。

 奴も、そこに俺がいない事に気付く頃だ。

 俺は浮遊した空中で、炎撃弾の全ての動きを意識の中に取り込みながら、剣を持つ右手を振りおろした。

 空高く舞い上がっていた炎の渦が大きく傾き、俺と奴がいるところまでつなぐ天上の橋が出来上がる。

 奴の雷撃は俺の炎の中の弾と衝突しては互いの力を相殺しあっていて、炎の渦の下には雷撃は届いていない。

 今、奴は無防備な状態だ。

 俺は空気の足場の上で、思いっきり深呼吸をしながら、膝を曲げた。

 両手で剣を掴んで、足場から蹴りだした。

 自分の炎の壁を突き抜けると、何事かと上を見上げている奴の顔が間近にあった。

 突然現れた俺に驚いた表情になり、手で俺を振り払おうとしたが、もう遅い。

 俺の振り払った剣は、奴の片腕を切り落とすと、奴の胸からお腹までを切り裂いた。

 奴のすぐ横に着地した俺は素早く体の向きを変えて、奴の右足に切りつけた。


 「お前の勝だ。お前に従おう」


 奴の声が聞こえたかと思うと、蒸発するかのように奴は姿を消し、俺の視界に元の世界が戻ってきた。

 俺は膝から林の地面に崩れ落ちた。


 「大丈夫?」


 希未ちゃんが心配そうに、俺の体を抱え起こそうとしてくれた。

 しかし、体型的にも希未ちゃんが俺を支えるなんてことは無理な相談だ。


 「大丈夫」


 そう言って、力を振り絞って立ち上がったが、体力の限界がきている事くらい分かっていた。それでも、俺にはしなければならない事があった。


 「雷撃嵐」


 俺たちのいる林の先はほんのさっき俺が焼き払った焦土が広がっている。

 雷撃を妨げるものなど何もない。

 すべての雷撃が敵に襲い掛かる。

 止むことの無い雷鳴と雷光。

 敵を襲う雷撃。しかし、驚いた事に倒れやしない。

 炎撃や雷撃を受けても大丈夫とは、あの鎧はかなりの魔具としか思えない。

 しかしだ、いつまでも耐えられるとは限らないはずだ。

 俺の雷撃は雷神の雷撃だ。

 その威力だって桁外れのばすだ。

 俺は体力の限界を感じながらも、雷撃を続けた。

 青空の陽光さえ打ち消す雷光が、あたりを包み続けている。

 俺の聴覚を麻痺させるほどの雷鳴も響き続けている。

 俺の考えは正しかったらしい。

 雷撃を繰り返し受ける内に、その閃光の中で、次々に敵が倒れて行くのを確認した。


 「やった」


 俺の体力が無くなるのが先か、敵がいなくなるのが先か分からないが、全ての敵がいなくなるまで、続けるしかない。

 やがて、俺の意識が届く範囲から敵の気配は消え去った。


 「終わった」


 俺がそう思った瞬間、まばゆいばかりだった光の世界は、俺の頭の中でゆっくりと真っ黒な闇の世界に変わって行った。

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