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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

万華鏡

泡沫の間

作者: 花鏡

忌み名の裏話的なもの。

実は取り返しのつかないとこまでも不器用さんだったという話。


相変わらず文章は読みにくいです、ごめんなさい。

 青年は自らの足の甲まで届かない水が、どこまでも薄く広がるその場所に立っていた。


 水の下は大理石のような質感だがどこか柔らかな地面で、青年のすね位までの丈の半透明の草花がさわさわと風に揺れ、水面が光る。


 どこまでも続くその水面と草原は、母を亡くしたばかりの幼い頃、何度も夢の中で訪れたその場所であった。


 大きくなるにつれ、いつの間にか見なくなったこの夢の光景に、青年は足りなさを覚える。


 小さな頃の夢の中では、ここには自分と同じ年頃の少女がいた。


 夕暮れ時の紫の瞳を持った、少女が。


 幼いながらも自分の立場を理解していた為、母のいない寂しさに泣くことができなかった。その頃に夢の中でここに訪れた。


 このどこまでも続く水面と青空と一言もしゃべることのない少女に、幼かった自分は自然と涙を流し、堰を切ったように大泣きをした。


 頭のどこかでこれは夢だとわかっていたからかもしれない。


 少女は声を出すこともなく、泣きじゃくる幼い自分の頭を何度もなでてくれた。


 何度も何度夢の逢瀬で、少女は何も語ることなく自分が涙を流す度に頭をなでたり、落ち着くまで側にいた。


 母のいない寂しさも薄らぎ笑顔ができるようになった頃、自身の忙しさもあって夢の逢瀬は少なくなっていった。


 その少女がいない寂しさに、青年は自嘲気味に笑う。


 会うことなく定められた婚約者が、公爵家の娘が求める少女だと気付かずに違えてしまった歯車を直すこともできず・・・娘は妻となった。


 理由をつけ自分の手元に置き、理由をつけ汚さないように手を付けることもなく、理由をつけ逃がさないようにし、理由をつけ自分の手で殺めた。


 誰にも渡したくないが為に。


 恋なのか愛なのか妄執なのかと問われれば、その全てだと答えられるほどに娘だけに固執した。


 自分が毒を飲ませ殺めた娘は、人としての生が終わったことを明確にし、自分の下を去った。


 明日は自分が処刑されることはわかっていた。今も牢の中、板の上で自分は眠っているのだろう。


 最後の夢がこの場所で良かった思った。


 娘はいない。青年自らが殺し神となり、自分に別れを告げた娘はこの夢の中にはいない。


 水面に膝をつき、小さくつぶやくように、呼ぶこともできなかった娘の名を口にする。


 流すことのなくなった涙があふれる。


 こぼれた涙が水面に落ち、小さな波紋を広げていく。


 いくつかの波紋とは別の波紋が水面に浮かぶ。


 うつむき涙でぬれる頬に、自分の手ではない細い指がそっと涙をふき取る。


 驚き顔を上げ、青年は自分の目を疑った。


 穏やかな娘の紫の瞳が、じっと青年を見つめていた。


 求め、恐れ、拒もうとし、それでも離せず求めた娘がすぐ側にいた。


 触れたくて、抱きしめたくて、拒絶される恐怖に動けないでいる青年を、娘は微笑んで抱きしめる。


 娘の思いが言葉はないのに水が流れるように伝わってくる。


 その伝わってきた思いに、驚愕し、喜び、自分の思いも同じように言葉なく伝わっていることを感じる。


 恐る恐る青年は娘を抱きしめる。


 娘を初めて触れたときは、娘が死ぬ間際であり体が冷たくなるまでその腕の中で抱きしめていた。


 喪失感と虚無感、そしてほんの少しの安堵だけに、その後青年の中にずっとあった。


 それが今は温もりとそれ以上の喜びが満たす。






 夕暮れにヘゼラ最後の王の処刑は行われた。


 夕暮れを瞳に宿した娘が、王の首を持ち姿を消したことを広場に集まった誰もが見た。


 その姿に様々な噂が流れたが、どれ一つ記録として後世に残ることなく時の流れに埋もれる。


 ただ、深い悲しみにある子たちが、夢で揺れる水面のが広がる場所に訪れ、そこには夕暮れの瞳の女神と青年が子達の悲しみを優しく抱きとめるという、小さな逸話がいくつかの文献に記されている。

青年も娘も不器用でした。

色々設定はあるけど使いきれてない辺りがなんとも。

どこかで出せたらいいなあ。文章力がマイナス過ぎて表せないだろう事はわかりきっているが。

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