暇つぶしの初恋
知らなかった
知らなかった
知らなかった
私はなにも、知らなかった
私がその人と出会ったのは、小学生になってすぐだった。
その人は1個上のお兄ちゃんで、静かな人だった。
私はその時追いかけっこをしてて転んじゃって、膝を擦りむいて、ちょっと血が出てて、なぜか怖くて、泣いていた。
その時にその人が通りがかって、すぐに保健室に連れて行ってくれた
保険の先生に消毒してもらって、絆創膏をはってもらった
それでも私は泣いていて
その人は私が泣き止むまで、ずっと傍にいてくれた。
昼休みが終わって、5時間目が始まっても傍にいてくれた。
その人は私が泣き止むと、「それじゃ」とか言って行ってしまった。
私はそれを黙って見送った。
その後も、私はよく怪我をした
時々、その人に保健室で会った、会う事があった。
その人は昼休みに保健室に来ることが多いみたいだ、運動すると気持ちが悪くなるのか
よく保健室のベッドに寝に来ていた。
私はよく怪我をして、保険の先生と仲良くなれたけど、その人とはあまり話せなかった
とゆうより、話しかけられなかった。
だけどその人の顔をみたり、声を聞くだけで、体がぽかぽかするような気がして
それが心地よかった
言葉を交わす訳でも、なにかを一緒にするわけでもない
それでも、私にとっては“傍”にいるという事だけで十分だった
たまに少しだけ喋ったりするだけで心はふわふわと天まで上って行くようだった
それで私は気づいたんだ
これが“恋”なんだってことに
知らなかった
こんなに幸せな気持ちになれるなんて
知らなかった
こんなに気持ちが穏やかになれるなんて
知らなかった
こんなに心が暖かくなるなんて
全然知らなかった
その人と私の関係が変わったのは私が2年生になった時だった
別に恋人になったとか、告白したとかそうゆう訳じゃない
初恋は実らないって言うけど、これは無いんじゃないかなって思う
お母さんが再婚した
新しいお父さんは酷い事にその人のお父さんだった
私は今までの佐々木の名字から、小川に変わった
私だって兄妹が結婚できないことは知ってる
だから、私の初恋は破れたんだ
知りたくなかった
こんなに悲しいなんて
知らなければよかった
“恋”があんなに愛おしいもなだなんて
全然知りたくなかった!
こんな事ならいっそ出会わなければよかったのに!
私はその夜
独りで哭いた
どもです
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