表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三界紀  作者: 飴色蝸牛
3/3

中天の街3

遅くなってしまい申し訳ありません。

 大豊に泊まっている船は皇土からの貨物や人を運ぶ客船や貨物船である。

そういった大型船を鯨に例えるなら港湾警備の哨戒艇はさながら小さなコバンザメの様にも見えなくもない。

しかし彼らの乗る哨戒艇はおこぼれにあずかろうとするコバンザメ等ではなく、巨大な鯨も恐れ慄く海の番人である。

「無線を受けてから既に四半刻は経っています。急がないと」


 にきびがまだ残る警備兵――恐らく和真よりも年下と思われる、が舵とりをしながら言うその横で無線機で呼びかけていた淳也が頭を上げる。

「今向こうから無線が来た。目標と一緒に南南東に移動しているとよ」

声からするに、あんま余裕なさそうだぞと呟く淳也に答えるように船は速度を上げていく。

「見えてきたぞ!」

 船のエンジンの立てる音に負けじと怒鳴る久米の指す方向には旧式の中型貨物船が見て取れる。


「むこうも無事みたいだ」

 貨物船を追う同じ型の哨戒艇の姿を見つけ、安堵のため息を吐く和真とは対照的に久米の表情は渋い。

「まずいぞ、やつらこのまま進路を変えずに南東に逃げるつもりだ!」

「それがどうしたんですか!?」

 久米につられ和真も大声で尋ねる。

「逃げた先は琥蕃(こはん)の領海だ。……そうなれば手が出せなくなる。」

「そうなる前に仕留めろってこった。……おう、わかった。」


 通信機をいじっていた淳也が立ち上がり振り返る。

「哨戒艇には航行能力を奪えるような火器は積んでいない。かといって乗り込んでいって制圧するにも抵抗が激しくて難しいらしい。」

久米の眉間に一段と深く皺が刻まれる。

「瀛州軍からは何と?」

 焦りに似た感覚のままに和真が疑問を口にする。

 期待できねえぞと前置きし、淳也は答える。

「鉄騎隊第二軍(りょ)が今出たらしい。到着まで四半刻てところか」

「蕎麦の出前か。それだけあれば奴ら悠々逃げおおせるぞ。」


「つまりはそういうことだろうよ」

 そう言うと淳也は肩をすくめ、久米は憮然(ぶぜん)とした表情になる。

「見逃せと、そういうことですか?」

 訝しげに眉を顰める和真に淳也は苦笑しながら首を横に振り、首をかしげる和真に答える。

「つまり我らの親分が言いたいのはこういうことさ。新入りが使い物になるかの見極めを兼ねて、俺たちだけで何とかしろってな」

「そういうことだ、行くぞ和真」

 淳也の後ろから久米が声をかける。いつの間に持ってきたのか船の備品らしき長槍を担いでいる。


 


 

 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ