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どく

作者: 沙華やや子
掲載日:2026/01/30

まりちゃんがごきげんさんで遊んでいると……?

 

 まるっこいおかっぱ頭のまりちゃんは8才。


 ある日、見つけたよ! 草むらの向こうにかくれんぼう。

 まりちゃんのへアースタイルのようなキノコちゃん。

 大きさは、まりちゃんの体と同じぐらい! 巨大!


 アレアレ?

 ブランコ飛び降りて、そばまで駆け寄ったのよ、まりちゃん。


「こんにちは」


「……」


 キノコちゃんはお返事してくれないの。


 ジー。


 まるで、難しい実験でもしている博士のように、水玉模様のキノコちゃんを見つめるまりちゃん。


 キノコちゃんの体は真っ黒に、白い水玉模様がついている。


「あ! あたしの今日のワンピースとおんなじガラ」


 真っ黒に白い水玉模様のキノコだなんて……お化けみたいで怖くなーい?

 

「シクシク……シクシク……」


 あらあら、キノコちゃん、悲しそうに泣き始めました。


「ぼくね、毒キノコなの」


 わ~、やっぱり!


「あなた、おしゃべりできるのね。お顔がないけれど」


「うん」

 キノコちゃんに表情はないけれど、さみしそうです。目がないけど涙をボロボロこぼしています。


 撫でて慰めてあげようとしたまりちゃん。


「いけないよ! ぼくをさわっちゃいけない。まりちゃんがキノコになってしまう」


「どういうことー?」

 小首をかしげるまりちゃん。


「うん、ぼくの毒はね、『人間をキノコに変えてしまうという毒』なの」


 手を引っ込め、「ふーん」とまりちゃんは言いました。


「じゃあ、ききます、キノコちゃん。あなたは……もともとキノコなの? それとも、もしかして……人間だったの?」


 キノコちゃんはだんだん泣き止んだ。

 そして悲しそうに言いました。


「ぼくはね、おっきな会社の偉い社長だったんだよ! キノコ狩りに行ってこのざまさ……シクシク……」


 キノコちゃんは元人間で、偉い社長さんだった……。


 まりちゃんは思いました。

(きっと、人間に戻りたいのだろうな~)と。


 なにか方法はないかな。 まりちゃんがキノコちゃんを触らずに、ジメッとした土から引っこ抜いてあげたら?! どうだろう?!


(あ! そうだ!)

 なにやらグッドアイディアが浮かんだ様子のまりちゃん。


「あたしのパパもね、会社の社長なのよ、キノコちゃん。助けてあげる! 待っててね」


「ちょ、ちょっと待って。ぼくをどうする気?」

 キノコちゃんは泣き止み、心配そうです。


「うん! キノコちゃんを土から脱出させてあげる」


「え! そんなことされて、ぼくは無事なのかな~」


「だいじょうぶ! キノコちゃんの元気がなくなったら、すぐに土に戻してあげるわ」


「う……うん」



 おうちに帰り、パパに一大事を説明し、助けを求めたまりちゃん。


「なんてことだ! それは可哀相なキノコちゃんだ。パパに任せなさい!」

 パパは張り切っています。


 しばらくすると、草むらから体が見え隠れする巨大キノコちゃんのもとへ、まりちゃんと、建設会社を経営しているパパがやってきました。


 パパはヘルメットをかむり、ショベルカーに乗ってキノコちゃんのほうへ向かっていきます。


 ゴゴゴゴゴゴ……。


「わぁー! 怖いよー!」

 キノコちゃんがあたふたしています。でも逃げられません。

 運を天に任せるしかない。


「パパ! 絶対にキノコちゃんが怪我をしないようにね!」


「だいじょうぶ! キノコちゃん、まり、パパのテクニックを信じるんだ!」


 緊張のあまりキノコちゃんの白い水玉模様が真っ青になってきました。

 つばを飲み込むキノコちゃん。


 もう、ショベルカーまで50cmもありません。


 ガリガリガリガリガリ! 土を掘り起こされた瞬間、ピューンッ! とキノコちゃんが空高く舞い上がり、どこかへ飛んでいってしまいました。


「……。キノコちゃん、だいじょうぶなのかなぁ。どこへ行っちゃったんだろう?」

 ポツリとまりちゃん。


 パパは「わからないが、キノコちゃんは怪我を絶対にしていないからね。まり……とりあえずお家へ帰ろう」


 二人は草むらを去って行きました。



 ――――夕ごはんを食べながら、まりちゃんとママとパパはテレビでアニメをみていました。


 すると突然、ブブブ! とお知らせの音がテレビから鳴り『緊急速報:人が空を飛んで来た!』という文字が画面に出ています。


「え~、これから『シャンピニヨン商事』社長の緊急記者会見を始めます」


 アニメから突然、記者会見会場の画面に切り替わったテレビ。


 まりちゃんが目を丸くして見ていると、おじさんがマイクの前に座っていて、多くの報道陣がカメラを向けています。


「わたしは……しばらくの間、毒キノコになっていました。見知らぬ人にショベルカーで引っこ抜いてもらい、空を飛んで帰って来られました」


「キノコちゃんだ!」

 大声を上げるまりちゃん。


 パパは隣で涙ぐんでいます。

「よかった! キノコちゃんが無事でほんとうに、よかったっ」と。


 まりちゃんからお話を聴かされていたママも「よかったね。キノコちゃんは毒キノコから人間に戻れたのね!」と笑顔です。


 キノコちゃん、いいえもう人間ですから……でも、まいっか! キノコおじさんは突然テレビ画面に手を振ってきました。


「まりちゃ~ん、ありがとう!」


 わあわあ、まりちゃん驚き!


 まりちゃんのパパは「人間に戻れてよかったね! おめでとう!」と言いたくなり、生放送中にテレビ局に電話を掛けました。


 記者会見の司会者が「あ、なにやら、たった今シャンピニヨン商事・社長を助けられた方から電話がテレビ局に入った模様です!」と報告。

 会場は一気にざわつき、拍手が起こりました。


 ――――そんな衝撃の記者会見から3日後。


 なんと、まりちゃんのお家に『シャンピニヨン商事』から、高級なマツタケがどっさりプレゼントとして届きました。


『こんにちは。その節はお世話になりました。“キノコちゃん”です。冗談はさておき、わたしはシャンピニヨン商事・社長の舞武夫(まいたけお)と申します。本当に助けてくださりありがとう。これはほんのお礼でございます。美味しいマツタケを召し上がって下さいね!』


 お手紙付きです。


 さっそく見事なマツタケをママが焼き、家族でいただきました。


「わー! お~いしいっ」

 まりちゃん、嬉しそう。


 ……それにしても、『触ると、人間をキノコにしてしまう毒キノコ』の存在が心配です。


 探検家・専門家・研究者たちはいっせいにこの毒キノコを、山に入り探し始めました。

 テレビでは、「見つけたら絶対に触らないように」と注意喚起しています。


 まりちゃんは、そんな風にみんなに厄介者扱いされる毒キノコが、なんであるのかな~? いるのかな~? と考え始めました。


 それを考えることがだいじなんじゃないかな、って考えついたからです。


 お家では、1週間はマツタケレシピが続きそうです! わーいっ。

 


世界は不思議だらけ

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