十二話 死
バッドエンド1。
2は作る予定はありません。
gdgっです。
「カイル」
次の日。丁度吸血鬼は眠りに着く頃だ。だというのに、カイルは外に出て、夜中に一人黄昏ていた。
そこへやってきたのは、カレンだった。朝の事もあるので、心配して来たのだろう。
「……カレンか」
「……うん。カイルは眠くないの?」
「俺に構わなくていいぞ。眠いんだろう」
目の前の湖から、カレンに視線が変わる。
「でも」
「いいから! 慰めとか、何も言わなくていいから……」
「あ――」
別に説教等はしなかった。
そんな事したって、立ち直れないのは分かっていた。
この館で、吸血鬼の憩いの場である居間。そこには、吸血鬼達がカイルを囲うようにして立っていた。
「死ぬのか」
ヴェスの聞き返した言葉に、カイルは力強く頷いた。
「いいのか」
意志の揺るぎも無く、また力強く頷く。
「そうか……」
吸血鬼全員で嘆息した。勿論カイルも。
覚悟はした。自分のせいで一つの種族を滅ぼすのかもしれない。それが例え吸血鬼であっても。
「じゃあ、おまっ……カイル様には――ロゼッタにはここで吸血鬼の為に消えてもらう。本当は、除霊なりなんなり出来ればいいのにな」
「……そうだな。学校にいた時から、死ぬ覚悟は出来ている。だから、ここで命が散っても俺にはやり残す事なんて……無い」
カイルは自分の二の腕を、肉が飛び散りそうな程噛んだ。痛そうに顔をしかめるが、それさえも出来なくなるような激しい麻痺感が襲う。床へと崩れ落ちた。
「姉貴がする?」
「うーん、カレン様がするべきだと思うわ」
話を振られたカレン。少し戸惑った。つまりは、カイル血を吸い尽くす人を決めているのだ。刃物等では殺しにくいだろう。そして、彼は仮にもロゼッタ家の血を引いている。やはり抵抗があった。だからカレンに頼んだのだ。
「私が……」
倒れているカイルを見下ろす。かなり苦しそうだった。
「やれ」
冷徹な声で指令を下すヴェス。
カレンは双子の兄を殺すという事に泣きそうになりつつも、吸血鬼の為だと思って――首に牙を入れ、苦さを我慢して血液を飲み干した。
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