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吸血鬼は夜に舞ふ  作者: 凍霜
二章『憑依編』
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十一話 問題点

 ロゼッタは成仏せずにいた。その中で、どこかで双子が生まれた事を感じ取った。

 それを追い、着いたのは、人間の男と吸血鬼の女が、それぞれ抱えている子供だった。二人は目を合わせることは無かったが、心では愛し合っていた。


「もうすぐこの子は吸血鬼の血に侵されるわ……。今はまだ人間の形をしているけど……ねぇ、あなた。この子達は人間として生きて貰いたいから、早く封印をしないと……」


 少し早く生まれた双子の兄――カイルと名付けられた赤ん坊は、まだ肌色の肌を持つ、人間の子供として生まれていた。

 ロゼッタはそれに乗り移った。そうして、早く覚醒すればと思った。だが、この後直ぐに紫の封印が施されることとなる。


「ごめんなさい。私達はここで死んでしまうわ。道連れよね」

「いいんだ。さあ、封印とはどうするんだ?」

「まずはカイルからよね。ロゼッタの伝説の事があるから……カレンはその後よ」


 そうして愛おしそうに、カイルと男が抱えているカレンを交互に見た。


「大好きよ。カイル・ロゼッタも、カレン・ロゼッタもあなたも――」


 封印したら、孤児院にでも預けなければ。頭の中はそれだけで埋まっていた。




 麻酔が消えてから、二人は真実について他の吸血鬼達から話を聞いていた。


「へぇ、学校で習った事と全然違うんだな。学校では毒なのに、本当は麻酔みたいなモノなのか」

「まぁ、オレは一回やったら飲み干さないとな。美味い奴しか飲まないし」

「えー、僕は少しずつ貰う派だなー」

「その派が吸血鬼の中に一人しかいない事を、ルージュはまだ知らないのであった……」

「それは知ってるけど……何か殺すのはなー。でも、やっぱり若い女の血は美味いよなぁ」


 敬語が外れている。

 ちなみに、カイルは教えられた事よりも、本人達から聞いた方が信頼性があるという事でそちらを信じている。先程噛まれたのに、毒などに侵されずに生きている事も関係していた。


「伝説の話の事も話したし、ざっとこんなところだ。他に気になることはあるか、カイル様とカレン様」

「様付けなのに何故敬語じゃないんです?」

「あー、そういう事は好きじゃないだろう。まぁ、少なくともこういう態度をしているのは、カイルの中のロゼッタにも入っているだろうな」

「俺の……」


 全員で押し黙った。

 カイルの意思とは関係なしに動いているロゼッタ。カレンの事も知っているという事は、カイルの目を通してでも見ていたのだろう。そして、一人で考えていた――。封印されていたとはいえ、ロゼッタ自身は眠ることなく起きていた。ただ、カイルが吸血鬼へと目覚めるその時を信じて。人間の姿で復活などは出来ない。何の力も持たぬ人間――ロゼッタはそれが格好悪かったし、何よりも吸血鬼の姿のままで無ければロゼッタに復活などは出来なかった。


「さて、どうする。オレは……」


 ヴェスが一瞬沈黙を遮ったが、直ぐに戻って来た。

 分かっていた。

 ヴェスが言いたい事は、分かって、いた。


「カレン様は良いとしよう。だが、カイル様は問題だ。最悪の場合、吸血鬼の全滅を防ぐ為に――」


 そこで言葉を遮り、カイルを申し訳なさそうに目を細めて見つめ、そして一言放った。



「殺すかもしれない」



 分かって、いた。

 カイルもカレンもアリアもアリスもヴェスもルージュも、誰もが既に分かっていた。

今後の展開に悩んでいます。

殺されるか、それとも破壊尽くそうとするのか。わー、図書館でも行って考えよー

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