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吸血鬼は夜に舞ふ  作者: 凍霜
二章『憑依編』
11/14

九話 愛シイ双子

久々の更新。

明日は習熟度テストの上に、作文提出です。



作文どーしよ(汗×100 + 8rz(石付き

 次の日。夕方頃。

 色々な眠りから覚めたカイルは、自分の体に違和感を覚えた。手が誰かと一緒に、腕組みの状態で括られている。背中が柔らかい。

 咄嗟に眠気が去っていき、横腹から床に倒れこんだ。片腕に衝撃が走る。


「覚めたか」


 カイルを、若くて肌が赤黒い数人の男女が見つめていた。

 その気持ち悪さに、横になったまま小さな悲鳴を上げた。一人ならまだいいが、数人となり、それも光が当たっていると気色が悪い。


「覚めましたけど! 一体どういう事態で――」

「う……」


 訴えかけようとしたところで、一緒に縛られていた少女が、先ほどの反動でくりくりとした目を開いた。


「というか、俺の後ろから聞こえてくる声は何なんですか?」


 カイルの質問は見事にスルーされる事となる。


「ここは――。吸血鬼の館……?」


 まだ寝ぼけているのか、か弱い声だった。


「そうだぞ。お前は――吸血鬼か。何用だ?」


 ヴェスが、怖がる他の者を差し置いて問いかける。

 赤黒い肌といい、吸血鬼である事はバレバレだった。


「その前に名乗らせて。私は、カレンといいます」

「そうか。俺はヴェスだ。――何用だ? 別の支部の者か?」

「いいえ、私は支部じゃなくて――」

「吸血鬼は何らかの支部――集団に属しているはずだ。俺達の様にな。どこにも入っていないだと? 何をふざけて――」


 警戒したらしく、ヴェスは彼女の首に鋭い剣を突きつけた。


「私は捨て子だから」


 そう言って何事も無い様な笑顔を浮かべた。

 それに圧倒されて、驚き、口を半開きにする吸血鬼達。カレンの後ろで、カイルは話の重さに顔を曇らせていた。


「だからね、どこの集団にも属した事が無くって。それで、ここに吸血鬼の館があるって聞いて――。是非、入れて欲しいな、って」

「どうも信用ならんな。お前、ファミリーネームは?」


 カレンはその問いに顔をしかめる。


「無いわ。先生も、分からないって。預けられても、名前だけしか両親は教えてくれなかったんですって」

「先生?」


 警戒心が強まっていく。剣が少しカレンに狭まる。


「私を捨てた先生。吸血鬼に覚醒しそうになっちゃってね。隠す為に捨てられたのよ。それで――」

「待て」


 一気に喋るカレンを剣と声で制するヴェス。視線の先はカイルに向けられている。

 カイルは自分と同じような境遇のカレンに、少し動揺していた。吸血鬼に覚醒――このキーワードで動揺していた。


「カイル――お前も今、その状況だよな? 人の血を飲んで覚醒している。今頃になって気が付いたのだが、本格的に体が赤黒くなってないか? まぁ? あの女の血を飲み干したんだからな。早まるのも当たり前か」


 ヴェスは冷静だった。だが、セリアを悪く言った様な台詞に、カイルは心の中で怒った。口に出さなかったのは、話が脱線しそうだったからだ。


「人の血を飲んだのか。そりゃ覚醒も早まる」


 アリアを始めとする吸血鬼は納得していたが、ヴェスやカイルのようには話の流れが分からない。


「かいる……?」


 カレンは後ろに縛られている、彼の名を愛しそうに呼ぶ。


「か……い……る、かい……る、カイル、カイル――」


 連呼する内に、それは確信に満ちた呼び方になっている。


「後ろにいるのは、カイルなの……?」

「ええと、そうだよ……? お嬢さん?」

「関係あるのか?」


 ヴェスの剣が少し首から離れる。


「会いたかったっ、カイル!」

「……!」


 カレンはとびっきりの笑顔で、赤黒い腕を一層絡め、背中を押し付けた。

 カイルの頭の中が真っ白になった。今、女性が柔らかとした背中を、嬉しそうに押し付けているので、無理も無い。ついでに言えば、紅くさらさらとした髪がくすぐったかった。

 館に住んでいる吸血鬼は、呆然としている。ヴェスは剣を投げ捨てた。――で、縄を解いた。理由は無かった。只……カイルの何かであると分かったからである。敵がどうたらというのは忘れていた。


「お前は誰だ!」


 カイルは飛びついてきたカレンに向かって叫んだ。


「……何を言ってるの、カイル。血を分けた双子でしょう? ああ、幼い頃と違って、逞しくなった!」


 叫んだはいいが、理性がその後去りかけた。カレンに抱きつかれて、柔らかい胸が当てられている。男性としてこれは非常に応えた。


「血を分けた双子だと?」

「ええ、そうよ。カイルとは双子よ。微妙に似てない?」


 カイルの横に顔を並べた。目の形などがとてもよく似ており、確かに双子と言えば通じる顔だ。


「似てるな……」

「確かに、アリアの言うとおりね」

「双子とか姉弟って言われても分からないね」

「いえ、双子で兄妹です」

「あ、そうだったのね」


 皆で納得。カレンの件は一先ず一件落着だ。


「――で、カイル」


 ヴェスはニヤけていた。何か意味有りげに。


「拝借するぞ。ほれっ」

「ウチの持っている血液をどうするんだ?」


 アリアの持っていた小瓶を奪い取り、カイルの前で振る。アリアが自分の小瓶を取られたのにあまり怒らないのは、それほど信頼している証拠だろう。


「ちょいと見て貰いたい。面白いぜ、コイツ」


 そうやって笑う彼は、心から楽しそうだった。

 少しずつ変化していく。カレンも、カイルも。


「ほらな」


 何度も描写してきたが、カイルはガラス製の血入りの小瓶を見たことで、瞳と髪が吸血鬼特有に紅くなる。周りのヴェスやアリアよりも、紅く、鮮血に、真紅に――

 カレンは、特には変わりなかったが――。人格が少し変わっている。


「その血は美味しいの……?」


 だが、カイルの様にそこまで変わってはいない。

 ヴェスはカレンに用は無いらしく、彼女の鳩尾に拳を入れる。腹を押さえて数歩下がった後、その場で倒れこんだ。


「訊く事がある」


 投げ捨てた剣を拾い、それをカイルの首筋に突きつける。ヴェスの目が恐怖に怯えている。



「なにをおびえているのだ」



 座り込んだままヴェスを見上げる。



「おまえはさからうのか。レナウィデ家のものよ」



「……! やはり、あのロゼッタの……!」

次回!カイルとカレンの禁断のあ(ry


……。


次回!カイルとカレンの禁断の吸けt(ry(殴蹴



後、ストックが少なくなってきたぞ!

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