九話 愛シイ双子
久々の更新。
明日は習熟度テストの上に、作文提出です。
作文どーしよ(汗×100 + 8rz(石付き
次の日。夕方頃。
色々な眠りから覚めたカイルは、自分の体に違和感を覚えた。手が誰かと一緒に、腕組みの状態で括られている。背中が柔らかい。
咄嗟に眠気が去っていき、横腹から床に倒れこんだ。片腕に衝撃が走る。
「覚めたか」
カイルを、若くて肌が赤黒い数人の男女が見つめていた。
その気持ち悪さに、横になったまま小さな悲鳴を上げた。一人ならまだいいが、数人となり、それも光が当たっていると気色が悪い。
「覚めましたけど! 一体どういう事態で――」
「う……」
訴えかけようとしたところで、一緒に縛られていた少女が、先ほどの反動でくりくりとした目を開いた。
「というか、俺の後ろから聞こえてくる声は何なんですか?」
カイルの質問は見事にスルーされる事となる。
「ここは――。吸血鬼の館……?」
まだ寝ぼけているのか、か弱い声だった。
「そうだぞ。お前は――吸血鬼か。何用だ?」
ヴェスが、怖がる他の者を差し置いて問いかける。
赤黒い肌といい、吸血鬼である事はバレバレだった。
「その前に名乗らせて。私は、カレンといいます」
「そうか。俺はヴェスだ。――何用だ? 別の支部の者か?」
「いいえ、私は支部じゃなくて――」
「吸血鬼は何らかの支部――集団に属しているはずだ。俺達の様にな。どこにも入っていないだと? 何をふざけて――」
警戒したらしく、ヴェスは彼女の首に鋭い剣を突きつけた。
「私は捨て子だから」
そう言って何事も無い様な笑顔を浮かべた。
それに圧倒されて、驚き、口を半開きにする吸血鬼達。カレンの後ろで、カイルは話の重さに顔を曇らせていた。
「だからね、どこの集団にも属した事が無くって。それで、ここに吸血鬼の館があるって聞いて――。是非、入れて欲しいな、って」
「どうも信用ならんな。お前、ファミリーネームは?」
カレンはその問いに顔をしかめる。
「無いわ。先生も、分からないって。預けられても、名前だけしか両親は教えてくれなかったんですって」
「先生?」
警戒心が強まっていく。剣が少しカレンに狭まる。
「私を捨てた先生。吸血鬼に覚醒しそうになっちゃってね。隠す為に捨てられたのよ。それで――」
「待て」
一気に喋るカレンを剣と声で制するヴェス。視線の先はカイルに向けられている。
カイルは自分と同じような境遇のカレンに、少し動揺していた。吸血鬼に覚醒――このキーワードで動揺していた。
「カイル――お前も今、その状況だよな? 人の血を飲んで覚醒している。今頃になって気が付いたのだが、本格的に体が赤黒くなってないか? まぁ? あの女の血を飲み干したんだからな。早まるのも当たり前か」
ヴェスは冷静だった。だが、セリアを悪く言った様な台詞に、カイルは心の中で怒った。口に出さなかったのは、話が脱線しそうだったからだ。
「人の血を飲んだのか。そりゃ覚醒も早まる」
アリアを始めとする吸血鬼は納得していたが、ヴェスやカイルのようには話の流れが分からない。
「かいる……?」
カレンは後ろに縛られている、彼の名を愛しそうに呼ぶ。
「か……い……る、かい……る、カイル、カイル――」
連呼する内に、それは確信に満ちた呼び方になっている。
「後ろにいるのは、カイルなの……?」
「ええと、そうだよ……? お嬢さん?」
「関係あるのか?」
ヴェスの剣が少し首から離れる。
「会いたかったっ、カイル!」
「……!」
カレンはとびっきりの笑顔で、赤黒い腕を一層絡め、背中を押し付けた。
カイルの頭の中が真っ白になった。今、女性が柔らかとした背中を、嬉しそうに押し付けているので、無理も無い。ついでに言えば、紅くさらさらとした髪がくすぐったかった。
館に住んでいる吸血鬼は、呆然としている。ヴェスは剣を投げ捨てた。――で、縄を解いた。理由は無かった。只……カイルの何かであると分かったからである。敵がどうたらというのは忘れていた。
「お前は誰だ!」
カイルは飛びついてきたカレンに向かって叫んだ。
「……何を言ってるの、カイル。血を分けた双子でしょう? ああ、幼い頃と違って、逞しくなった!」
叫んだはいいが、理性がその後去りかけた。カレンに抱きつかれて、柔らかい胸が当てられている。男性としてこれは非常に応えた。
「血を分けた双子だと?」
「ええ、そうよ。カイルとは双子よ。微妙に似てない?」
カイルの横に顔を並べた。目の形などがとてもよく似ており、確かに双子と言えば通じる顔だ。
「似てるな……」
「確かに、アリアの言うとおりね」
「双子とか姉弟って言われても分からないね」
「いえ、双子で兄妹です」
「あ、そうだったのね」
皆で納得。カレンの件は一先ず一件落着だ。
「――で、カイル」
ヴェスはニヤけていた。何か意味有りげに。
「拝借するぞ。ほれっ」
「ウチの持っている血液をどうするんだ?」
アリアの持っていた小瓶を奪い取り、カイルの前で振る。アリアが自分の小瓶を取られたのにあまり怒らないのは、それほど信頼している証拠だろう。
「ちょいと見て貰いたい。面白いぜ、コイツ」
そうやって笑う彼は、心から楽しそうだった。
少しずつ変化していく。カレンも、カイルも。
「ほらな」
何度も描写してきたが、カイルはガラス製の血入りの小瓶を見たことで、瞳と髪が吸血鬼特有に紅くなる。周りのヴェスやアリアよりも、紅く、鮮血に、真紅に――
カレンは、特には変わりなかったが――。人格が少し変わっている。
「その血は美味しいの……?」
だが、カイルの様にそこまで変わってはいない。
ヴェスはカレンに用は無いらしく、彼女の鳩尾に拳を入れる。腹を押さえて数歩下がった後、その場で倒れこんだ。
「訊く事がある」
投げ捨てた剣を拾い、それをカイルの首筋に突きつける。ヴェスの目が恐怖に怯えている。
「なにをおびえているのだ」
座り込んだままヴェスを見上げる。
「おまえはさからうのか。レナウィデ家のものよ」
「……! やはり、あのロゼッタの……!」
次回!カイルとカレンの禁断のあ(ry
……。
次回!カイルとカレンの禁断の吸けt(ry(殴蹴
後、ストックが少なくなってきたぞ!