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凪咲の考え

「消耗が激しい。

 このままだといざというときに持たない。

 一度能力を解除するよ」


 藍那は黙って頷いた。

 気配遮断以外の能力がすべて解除される。

 2人はともに息を切らし肩を揺らしながら道の途中で止まった。


(まだ住宅街の真ん中だ。

 このままはまずい。

 どこかで回復するまでやり過ごすべきか……)

 阿賀野は辺りを見渡しながら、

 身を潜められそうな場所を探している。

 すると、横に車が止まった。

 瞬時に身構え、どのように対処すべきか検討していると、

 中から40代程度の男が顔を出してこちらを見ている。

(勘付かれたか……?)

 逃げようと藍那の手を引こうとしたとき、男が話しかけてきた。


「藍那……無事だったのか」

「お父さん……」


 藍那は息を切らしながら運転席に座っている父親を見た。

「乗るんだ。お父さんが安全なところまで連れていく」


(なぜ平日にこんなところにいるんだ……?)

 当然、藍那も疑っている。

 先ほどのことがあり、なおさら信用できなかった。


「お父さんたちは軍に私のことを洗いざらい話したって聞いたよ。

 信用できない」


 藍那の顔には怒りではなく、哀愁が漂っていた。

 彼女の父親は血相を変えて弁解し始めた。

「あれは脅されたんだ。

 お父さんの会社からも圧力がかかった。

 お母さんを……、

 藍那が帰ってきても大丈夫なように家を守るには逆らえなかったんだ」

 その目には涙が写っていた。

「でも、今度は……今度こそは藍那を守らせてくれ!」

 車を出て、藍那の手を握っていた。

 藍那はたじろぎながら答えた。


「でも家にはきっと軍が……」

「今は別の家にいるんだ。そこへ逃げよう」

 藍那は振り返って阿賀野の方を見た。

「僕は藍那に付いていくよ」

 2人は車に乗り込み、家へと向かうこととなった。


 一方、藍那の学校では自衛隊が緊急で参集していた。

 兵士たちは姿を隠すのをやめ、学校中に散見されている。

「目標は協力者と接触したようです」

 学校の会議室を間借りして、一時的な指令室にしているが、

 校長は困り果てたような顔をして、その行く末を見守っている。

「我々の言ったとおり、生徒さんに怪我はなかったでしょ。

 これも日本国民、いや全世界の人類のためなんです。

 もう数日で終わりますからそれまでの辛抱です」

「はあ」

 もともと気が小さいこの校長は、

 政府の高官から初めてこの作戦を聞いたとき、

 断ることができなかった。

 そして、何も断れないままなし崩し的にここまで来てしまったのだ。


「どういうことですか、校長先生」

 凪咲は部屋から出てきた校長を問いただしていた。

 しかし、当を得ないあやふやな答えが返ってくるだけであった。

 耐えかねた凪咲は軍のいる会議室へ飛び入ろうとしたが、

 扉の取っ手まで手を伸ばしたところで手が止まった。

 中からミーティングの内容がかすかに聞こえてきていたのだ。

 しかし、止められる。

「君、いくら協力者といえども、

 この中の会議の内容をみだりに聞かれるわけにはいかない」

 そのまま校長とともに兵士によって、

 離れたところに連れ出されてしまった。


 しかし、凪咲にはちょうど今回の作戦の核となる部分の説明が聞こえていた。

(早く藍那に知らせなくちゃ……!)

 学校を出て、すぐに電話をかけてみたがつながらなかった。

 藍那はこの旅でスマートフォンは破棄してしまっていた。

(決行は明日だって聞こえた。

 それまでに見つけ出さなくちゃ。

 でも藍那のいる場所がわからない。だったら……)


 凪咲は空を見上げた。

 そして、深呼吸をした。

 そして、もう一度会議室へ向かい、兵士に話しかけた。


「私、まだできることがあると思います。

 だからこの作戦に協力させてください!」


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