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最終章:夢のあと
万博は予定通り開催された。
夢洲のパビリオンの裏で、かつて“万博師”が暗躍していたことを知る者たちは、静かにその場を見つめていた。
神谷遼は、告発後に財務省を辞職した。
現在は、フリーの調査報道ジャーナリストとして活動している。
彼の書いたルポルタージュ『白鷺の羽音』は、国内外でベストセラーとなり、多くの若者たちに「正義とは何か」を問いかけた。
高梨真理子は、姿を消した。
だが、彼女の残したノートは、今も神谷の手元にある。
「夢を語る国に、嘘はいらない。
未来を築くなら、まず過去と向き合え。」
そして、神谷は今日もどこかで、
新たな“白鷺”の羽音を追っている——。