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第六章:沈黙の壁
神谷は、証拠資料を持って複数のメディアに再度接触した。
だが、返ってきたのは、冷たい沈黙だった。
「申し訳ありませんが、編集会議で却下されました」
「上層部の判断で、掲載は見送らせていただきます」
「この件に関しては、政府広報との関係上……」
神谷は、最後の手段として、海外の報道機関に連絡を取った。
BBC、Al Jazeera、The Guardian——
そして、あるジャーナリストが応じた。
「We’ve seen this before. Tokyo Olympics. Fukushima.
If you have the documents, we’ll publish.
But be warned: once it’s out, there’s no going back.」




