表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

第三章:白鷺の影

神谷遼は、夢洲開発推進会議の公式サイトを開き、理事一覧を確認した。


そこに、ひときわ異質な肩書きがあった。


特別顧問:白川雅彦しらかわ・まさひこ


元国土交通省都市整備局長。退官後、複数の都市開発プロジェクトに関与。


現在は民間コンサル会社「未来都市戦略研究所」代表。


「白鷺……白川……」


神谷は確信した。


“白鷺”は偽名ではない。


白川雅彦——かつて霞が関で“都市開発の黒幕”と呼ばれた男。


その名は、神谷が新人時代に何度も耳にしたことがある。


「彼が、万博師の実行責任者……?」


神谷は、白川が代表を務めるコンサル会社の所在地を訪ねた。


東京・赤坂の高層ビルの一角。受付で名刺を差し出すと、秘書が丁寧に対応した。


「白川は本日、大阪の現場に出張中です。夢洲の視察に同行しております」


夢洲——また、あの島だ。


神谷はその足で再び大阪へ向かった。


その途中、山根から連絡が入った。


「神谷さん、あんたに見せたいもんがある。うちの現場監督が撮ってた写真や。あの“関西未来開発”の連中の顔が写ってる」


神谷は、此花区の事務所に戻り、写真を確認した。


そこには、作業服姿の男たちとともに、スーツ姿の中年男性が写っていた。


その顔に見覚えがあった。


「……これは、白川雅彦だ」


山根が驚いたように言った。


「え? あの人、国の偉いさんちゃうんか? なんで現場に……?」


神谷は、写真の背景に写るパネルに目を凝らした。


「関西未来開発」のロゴとともに、見慣れたマークがあった。


【2025大阪・関西万博】


未来社会の実験場


「これは……国が“お墨付き”を与えた偽装会社だ」


神谷の中で、点と点がつながった。


白川は、国の肩書きを利用して“関西未来開発”を立ち上げ、三次受け業者を信用させ、工事を完了させた後、会社を解散。


未払いのまま、すべてを“倒産”という形で消し去った。


その背後には、国交省OBのネットワークと、政治家との癒着があった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ