三歩散歩する
三歩、散歩する。
それは途轍もなく遠い距離。
一歩足を踏み出すことが、これほどまでに難しく、歯痒く、焦れったい。
動いてくれない。
言うことを聞いてくれない。
神経が伝達してくれない。
足は確かにぶら下がっていて、地に着いていて、目に見えている。
イライラしながら、ヒヤヒヤしながら、ソワソワしながら、長い時間を掛け、感情を起伏させながら、歩こうとする。
意思を持って、進もうとする。
挫けそうになる。
折れそうになる。
砕けそうになる。
足が、心が。
触れる手と手。
絡む指と指。
見交わす目と目。
付き合ってくれること、見守ってくれること、支えてくれること。
勇気が湧く。
力が出る。
自信になる。
急かさず長い時間付き合ってくれて、温かく優しい眼差しで見守ってくれて、そっと静かに、確かに、支えてくれる。
ようやっとの一歩。
やっとこさの二歩。
………………
…………
………………
歩、前に。
雲が流れた。
日が傾いた。
烏が家に帰った。
過ぎ去る時間と、進んだ歩みと、共に並ぶアナタ。
一瞬で終わるはずの三歩。
一瞬で終わるはずの散歩。
なかなか終わらない三歩。
なかなか終わらない散歩。
やっと進んで、やっと終わった三歩。
やっと進んで、やっと終わった散歩。
今日はもうお休み。
今日はもう終わり。
休息は大事。
で、これから始まる。
一歩、二歩、三歩と、前に。
明日、明後日、明明後日。
最初の三歩、最初の散歩。
最初の次は、どんどん続く。
どんどん続いて、まだまだ続く。
どんどん、まだまだ、続いていく。
しっかり休んだその先を、前を、未来を、歩いていく。
隣にいてくれるアナタと共に、続いていく。




