魔法少女さん
Ⅰ
人は変わりゆくものと聞いています
それはきっと真実ですが
実はそうではなくて
わたしたちが変わっているのだと
人に向けるこころが変わっているのだと
Ⅱ
それが皆に起こる変化
それがわたしたちを生活に落とし込んでいる
それがわたしたちを蝕み
全て変わらずにはいられないと思わせる
何ひとつ変わっていなくても
全てなくなってしまったように思うのは
わたしが変わってしまったから?
Ⅲ
「変化は良いものだ」
「変化は忌まわしい」
「何ひとつ得られず」
「すべてを奪われる」
⋯⋯‹注釈›⋯⋯
‹解析不能›
‹解析不能›
‹解析不能›
‹解析不能›
わたしはあなたが幸せになれるだけの時間を与えました
⋯⋯⋯⋯
「時間とは」
「それを考えることすらおこがましいもの」
「それもそうだ」
「わたしたちは?」
「⋯⋯‹生物›⋯⋯ではない」
ⅳ
あなたはショートケーキを食べるとき、まずはいちごを皿の隅によせますね。
それから、彩りのなくなった真っ白なスポンジとクリームに銀のカトラリーを沈める。
それから、器用に切れを倒して、フォークで掬って食べるのです。
わけがわからない。
あなたの体内はクリームといちごでできていました。いちごは絶対に残していたのに。
⋯⋯
魔法少女! くるしいまま、私を守るために戦って! そうしたら幸せでいられるよ。
機械都市の隅で翅を伸ばして円を描くたくさんのばけものたち⋯⋯彼らは私を見ている。
Ⅱ
ガキのこころで空を飛んで、ノートの端のほうには独白が。
ⅲ
その日傘の先からは電雷が奔るのでしょう?
わたし、知っていますから。
あなたに守られるばかりの弱い人間でなく、もって恐ろしく、もっと強くあればよかったのに。