あらゆる夜をのぞむ曲
₁
まるで薄物のような、
それはそれは鋭利な翅が月夜の晩に閃いたの
私はそれを見ている
私はそれに見られている
まるで人狼のような、
鈍い色をしたあなたの目は濁りきっている
私はそれを眺めている
私はそれになぶられている
あなたにはわかるまい、あなたには。
句読点を打つように、星のよく見える冷たい季節に翅を生やして
飛んでしまえたらいい。
あらゆる夜をこえて
₂
昼の宇宙の下
ダイヤが崩れたプラットフォーム
あらゆるところに散った
水晶の骨は未だ崩れたまま
にんげんの躰を探し回っている
みつけないでもいいからね。
あなたはゆっくりおやすみなさい。
₃
救われてね。
救われてね。
ちゃんと救われてね。
救われてね。
他の誰が不幸でもいいんだって。
それはわたしからのプレゼント
それで全部を帳消しにする気はないけれど
帳消しにできることじゃあ、ないでしょう。
幸せになって。
救われてね。
名前さえ知らなくたって、救われてね。
₅
液晶越しの星は瞬くでしょう?
星空はわたしを産み落としたけれど
それは恐れるべきことだったのかも知れないけれど
塵でいるほうがいとおしいとは、今では思えないの
人間になってしまった
₆
君は人間になってしまった!
それがいとおしいなんて言えやしないけど
人間だって動物よ
その他何らと変わりないわ
わたしたちだって動物よ