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僕は自殺に失敗してからというもの、自殺という行為がめっきり怖くなってしまいました。それはしかし、死への執着が薄れたわけではありません。自殺は恐ろしいものであるが、恐ろしいものには憧れが付きまとうものです。僕は自殺に憧れ、それに試みた自分が誇らしくてたまらないのです。しかし再び行動を起こす力を失った現在の僕は、ただ遠くに朧げに浮かぶ死というものに手を伸ばすばかりになってしまいました。空に手を伸ばす木の葉のように、僕は届きもしないそれに必死に手を伸ばすのです。ふと、考えることがあります。今目の前の車が急にこちらを向いたなら。川の水面が3mほどに猛り、僕を飲み込もうとしたなら。工事現場の足場がちょうど頭上から降ってきたなら。そして、それらが夢に過ぎないことに僕は酷く落胆し、僕と向き合おうとしない世界に溜息を吐いて、また嘔吐するのです。




