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人間と魔族の姫、サウナを愛でる ②

「内風呂の部分は、あんまり変わっとらんのう」

「うん、ここはここで、導線が完璧だから……変わったのは、この外なんだよ」

 セレーネとショチトは、内風呂の洗い場で体を洗うと、従来のサウナ室を通り過ぎた。ハラウラの案内で、以前は外気浴スペースへの出口だった扉に手をかけ開くと、外気浴スペースへの道が二手にわかれていた。分かれ道になっている正面には、簡易的な棚があり、そこに水着やタオルを置いておけるようになっている。

「さ、水着を着て……右に出ると、男女共用のスペースになっているんだ……」

「まぁ!だから水着が必要だったんですのね。なかなか思い切った改装をなさったのね」

「ああ……最初に決めたルールと食い違うから、主人は悩んだみたいだけど。結局、『男女でいっしょに利用したい』っていう声が多かったのもあって、ルールのほうを整備することにしたんだ……」

「ワシは男にハダカ見られても別にいいんじゃがのー」

 セレーネは胸と尻を覆うだけの高露出で高性能な水着(セレーネ自身がプロデュースした今年の流行りだ)を身に着け、雑に布を巻いただけのショチトとともに、『これより先男女共用:水着着用のこと』と書かれた扉を抜けて外に出た。


「わあ、すごい!」

「ほぉー!こりゃ立派じゃのー!」

 二人は思わず声をあげた。日差しがあたたかに差し込む森の一角は、タイル張りに舗装されていて、公園か庭園のようになっていた。奥にはには大きなサウナ小屋が見え、それを中心にして、長椅子や簡易的なベッドが並ぶ外気浴スペース、そして不思議な形をした水風呂らしきものがあった。

「おい、あれはなんじゃ?池か?水風呂か?」

 ショチトの指差した、サウナから見て反対側には、四角い池のようなものが作られ、なみなみと水が張られていた。数人の男女が、その中で泳いだり、浮きにつかまってのんびりと浮いている。

「ふふん、よくぞ聞いてくれたね……あれは、巨大水風呂、通称『プール』だよ。潜ってもいいからぬるめの水風呂としても使えるし、ああやって水遊びをすることもできるんだ……楽しそうだろう?」

 ハラウラは胸を張って答える。その横を通り抜け、ショチトはすでにプールに駆け出して飛び込んでいた。

「うひょー!きもちいいーっ!今日みたいに暑い日には最高じゃのーっ!!」

『トビコマナイデクダサーイ』

 ビビーッ、と警笛のような音がして、共用部と男女別区域を仕切る壁の上にある像から、謎の光線がショチトに照射される。

「ひゃあ!驚いた、なんじゃこれ」

「飛び込んじゃだめだよ、あぶないだろ……あれは魔術の『使い魔』だ。ボクはあんまり詳しくないんだけど、主人の知り合いの魔術師からいくつか譲ってもらったみたい。こうやってあぶないことをする人を見張ったり……」

『ノゾカナイデクダサーイ』

 話していると、後ろで共用部分の壁を飛んで越えようとしたト族の女性が、光線で撃ち落とされた。

「……ああやって、不埒なやからを成敗してる……ひどい行いをすると、それだけ強い光線がくるから、きをつけて」

「ふうん。便利なもんじゃのう……母上にたのんで、どこぞから手に入れてみるか……」

 セレーネもプールにつかって、漂っていた浮きに体を乗せてみる。何度か川や海に水遊びに行ったことはあったが、こうしてのんびりと漂うのはまた別の気持ちよさがあった。

「それじゃあ、ボクはサウナのほうにいくけど……二人は、もうちょっとプールで遊んでいく?」

「あ、サウナ!そうじゃそうじゃ、サウナに入りにきたんじゃった。行くぞセレーネ、サウナに!」

 ショチトはざばざばと水をかきわけ、プールからあがってサウナのほうに向かっていく。

「……にぎやかな方ね。あの方も常連ですの?」

「ああ、会ったことはなかったかい?夜遅くにくるから、きみとは入れ違いなのかも……サウナ、きみも行くかい?」

「ええ。あの小屋、もしかしてまるごとサウナ室ですの?」

 スペースに点在する給水所で水分を補給しながら、三人はサウナ小屋へと向かっていく。


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