第1話
初投稿
よろしくお願いします
学生。それは子供と大人の間にいる人たちだ。
社会に出るために基本的な知識を身につけ、
必要とされる技能を習得する。
人によって学生でいる時間は異なるが、大体10年~16年だろう。
その間に人々は生き抜く術を身につけるのだ。
それは上野 泰知も同じである。
ただ、泰知が他の学生と違うことといえば、
「え……、ここ僕の部屋じゃない」
彼がいる場所であった。
「え……、ここ僕の部屋じゃない」
そう呟いた少年、いや上野 泰知は文面ほど慌てていなかった。
いや、本人からしてみたら十分慌てていたのかもしれないが、口調が大体のイメージを作り出している。
しかし、本当はもっと慌てていいはずなのだ。
彼は16歳である。日本でいうところの『高校1年生』だ。昨日高校の入学式があり、寝て起きたら大草原の真っ只中である。ちょっと頭おかしいんじゃないの、というシチュエーションだ。そういう意味では泰知はとても神経が図太かった。
「ここどこだろうね」
辺りを見渡してみる。──大草原である。
「うそじゃないよねえ……いたっ」
今度は頬をつねってみた。痛いからやっぱりこれは現実らしい。お決まりのヤツだが、それをやってしまう位には泰知は驚いていた。何度も書くが、驚いていると見えないながら、本人はとてもびっくりしているのだ。
「これからどうしようか」
そう呟いた泰知少年は、もう一度辺りを見渡してみる。……と、
「街が見えるねえ」
街を見つけた。実はその街はここから4kmも離れているのだか、泰知は気にしていない。4km先が裸眼で見える辺り普通ではないのだが、泰知少年にとっては街がある、ということの方が重要であった。
「じゃあ、街に行ってみないと」
かくして泰知少年の行き先は4km先の街『ジネヴィラ』へと決定するのであった。
「はぁ、はぁ…あ〜、疲れた。街遠すぎだよねえ」
ただいま上野 泰知少年は先程目標とした街『ジネヴィラ』から2kmの位置を歩いて……いなかった。
とても疲れていたのである。泰知少年にとってはそれも当然であった。何しろつい2週間前まで受験勉強しか
してこなかったのだ。運動不足貰もいいところである。
それに彼は寝て起きたら大草原だったので、ほとんど何も持っていなかった。加えて昨日の夜から何も食べてないし、飲んでもいないのだ。泰知少年が力尽きるのは時間の問題だった。
「おい、お前どうしたんだ。行き倒れか?……それにしては奇抜な格好だが」
しかし神は上野 泰知を見捨てなかったらしい。というのも、彼に声をかける人が現れたのだ。
「あ〜、行き倒れではないですよ。ただ、少し疲れてしまってですねえ」
この状況でこう答えるあたり泰知少年はなかなかである。相手もそう思ったか、
「お前、どこにいくつもりだ?こんな所で1人で」
と会話に参戦してきた。
「いや〜、あそこに見えている街に行こうと思っているんです。あと、僕は迷子??みたいで」
泰知はこう言ったが、普通の人は2km先にある街などは見えない。ましてや自分で迷子??などと答えるなんておかしすぎる。けどまぁ、そこは泰知少年だということで、相手もそれが少しは分かったようだ。
「じゃあお前、俺の馬車に乗ってくか?俺は今からジネヴィラに帰るとこだったんだ」
「いいんですか?」
疑問形で聞きながら泰知少年、とても嬉しそうである。もう一緒に行く気満々であった。
「おう、いいぞ。ただ、ちょっと狭いから我慢してくれよ」
「それくらいかまいませんよ〜。ありがとうございます」
しっかりとお礼は言える泰知少年。それは彼がいた日本では当たり前の事だが、こちらでは当たり前ではないのだ。
かくして、彼は同行者を得たのであった。
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