始まりの日
これは僕の奇妙でおかしい幸せな話。
ドゴッバキッ
不快な音が部屋に鳴り響く。
「なんでテメェが生きてんだよ!死ね死ね死ねッ!」
僕はただうずくまり暴力と暴言に耐える。
意味もなく殴られるなんて日常茶飯事。
打撲痕を隠して外出するのも慣れたものだ。
僕はこいつに殴られるだけの人生を送る。
心が痛んで傷ついて壊れそうになって、逃げ出したい誰か助けてと布団の中で泣いた夜もある。
でも、もう少し…もう少しだけ我慢すればお母さんが迎えに来てくれるんだ。
「大河、待っててね。必ずお母さんは迎えにくるから」
そう、言ってくれたんだから。
霞む視界の中で一枚の家族写真が目に入った。
自分もお母さんも父さんも笑顔で笑ってる。
「………ずっと…まってるから…………お母さん…」
気がつくと見知らぬところに立っていた。
辺りは光に満ちていて、初めて見るのに何処か懐かしくもあった。
どこまでも続く草原。舞い散る花々。小鳥の囁き声。
そこはまるで楽園のようで自然と笑みがこぼれた。
突如、風が強く吹きとっさに視界を手で覆う。
風が止んだ先にいたのは、一人の少女。
「はじめまして、笠原大河さん。私はスズリカと申します」
スズリカと名乗った少女は綺麗に一礼をし、微笑む。
どうも、駄作者のライです。
一文目の幸せな話とかどこいった?と言いたくなるような始まり方でしたが、これから大河くんはどんどん幸せになってくれるので、安心してください。
次回 第2話『転生』
それではまた。