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プロローグ

お読みいただきありがとうございます。

この話は禁術のロークという魔王の術とネクロマンシーを使うおっさん賢者が再び世界を救いにいく話です。お楽しみいただけると幸いです。

 聖剣フラガナッハ(答えるもの)は強烈な閃光を発した。

 彼女・・は白金色に輝く髪をたなびかせ、聖剣を大きく振り上げた。


「フ、フルパワーか?」

 エドマンドが叫んだ。彼は竜のウロコの鎧を血まみれにしていた。重傷を負った司祭のリンナを抱えていたからだ。彼女がかけた防御の高位法術は今にも消えそうだった。


 周囲は虹色とどす黒い闇が入り混じったような不気味な空間だ。

 幻術ではない。

 魔王が作り上げた障壁だ。


「くそっ 俺たちを守るためか!」

 聖騎士のフェビウスがリンナから目を離さずに叫んだ。彼は中位法術でリンナの治療を行なっていた。銃士のシィエンは魔王が障壁をはる前に行方がわからなくなった。最後の魔物の抵抗の中でたおれたのかもしれない。


「ロークのおっさん何とかしろ!」

 エドマンドが言うまでもない。

 禁術を得意とするロークはさっきから必死に術を練っていた。

「今やってる!」

 ロークは意識を集中し周囲に展開していた。

 魔王の結界を剥ぐ(はぐ)

 無理だ。同系統の術が使えないと解除はできない。この障壁の術は謎だ。

 

 魔王を攻撃する?

 魔王自体もこの虹色とも闇ともつかず、無数の悲鳴のような音をはらんだ障壁をまとっている。攻撃は届かない。この障壁は物理的にではなく、何かもっと上位の概念でこちらの攻撃を防いでいる。魔王自身のものか、それとも何かのアイテムを使っているのか、両方なのか。それもわからなかった。


 ロークは死体操作《ネクロマンシー》を得意としていたが今ここには操る対象はいない。


「星が降ってくるぞ!」

 エドマンドが言う。 

 みると頭上からいくつもの流星が降ってくるのが見えた。


「みんな大丈夫」声は聞こえなかった。勇者エリスはこちらを見て微笑を浮かべた。口の動きだけで何を言っているか分かる。長年パーティを組んで魔王と戦ってきたからだ。


「やめろエリス!」

 フェビウスが叫んでいた。

 流星群はもう目の前まで落ちてきていた。ただの流星ではない。魔力をはらんだ星だ。それは1つであの大国ダストランシアを滅ぼすほどの威力がある。


 勇者エリスはふりかぶった聖剣を一気にふりおろした。

 視界が割れる。

 その聖剣は全てを切り裂く。魔王でさえも。

 そしてそれは魔王の障壁と世界そのものを切り裂いた。


 ロークたちが空っぽの魔王城で目を覚ましたのは数時間後だった。

 エリスも魔王も消滅していた。気配を探してもすでに存在しなかった。あの世にもいない。彼女は聖剣を使い魔王ごとこの世界から消え去ったのだった。


――魔王が消え去った後、残された皆で魔王の玉座に残されたアイテム……魔王の遺物をそれぞれが持ち帰り封印することにした。魔王の遺物は壊せない。ならば安全に保管したほうがいい。そのようにフェビウスが主張したのだ。


 魔王はたくさんのアイテムを持っていたがその中でも特に危険なものだけを保管することにした。ロークは魔王の書物をもらった。魔王が使っていたとされる「底知れぬ怒りの杖」は見つからなかった。


 パーティはそこで無言で別れ、それぞれ故郷なり待つ人がいる国へと帰っていった。


 ロークは闇が晴れ青空が広がっていくのを見つめていた。

 あの魔王城にも光がさしている。こうしてみるとあの禍々しいシルエットの魔王城も美しい古城のように見えた。実際魔王が何らかの術をかけていたのかもしれない。


「……そんなキャラじゃなかっただろエリスちゃんよ」

 まだ10代の少女だったエリスは世界の全てを背負って消えたのだった。 

 ロークは身寄りなどもない。かつて召し抱えられていた大国ダストランシアも灰塵に帰した。


「……暇だから魔王の書物でも読み解きながら、この城を監視するか」

 魔王はまた復活するかもしれない。

 あるいは今回見つからなかった強力な魔王の遺物がまだ存在するかもしれない。

 ロークは魔王城が見える廃村に居を定めた。


 魔王が消え、徐々に人が廃村にも戻ってきた。

 復興が進みやがてその街はロッテンブルクと呼ばれるようになった。


――それから10年が経った。


 


 



 

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