6話目
前々回のスキルのデメリットを少し追加しました。特にストーリーで変わることはありません。
今あるスキルは、《霊化・実体化》《魔法弱点》《物理耐性》《気配察知》《気配遮断》《メリーさんの電話》《後ろの正面だーれ?》《ワープ》だ。
《魔法弱点》と《物理耐性》、《気配察知》はとりあえず意味ないよね?
本当にどうしようかな……。
「ねえ、今の魔力とか分からないの?」
「ああ、戦闘チュートリアル中はステータスに載っています。それ以外のチュートリアルでは見れませんが……」
「上等じゃない! やってやるわ!」
まずは《気配遮断》で自身の気配を消す。まあ、目の前で気配を消しても意味ないけど……。
でもこれは次のための布石。
あたしは武器のナイフを狼の顔、特に目を狙って投げて《ワープ》を使って狼の後ろにワープする。目を狙って投げたことで反射的に目を瞑ってしまった狼は、あたしが《ワープ》したのを見ていない。それにあたしはその前に《気配遮断》を使ったから、気配も分からないはず。
そして狼は、あたしを見失った。その上で《メリーさんの電話》を使う。
『もしもし? あたしメリー』
「グルッ!?」
狼の体がビクッと跳ね、辺りを見渡す。どうやらしっかりと機能しているらしい。鼻も使って探しているけど、どうやらまだ見つけていないみたい。
でも見つかるのも時間の問題だし、さっさと倒そう。
『今、あなたの後ろに居るの』
「グルァッ!」
その瞬間あたしはもう一度、《ワープ》を使って初めの位置――狼の正面に戻る。狼は声を聞いて、あたしの目の前で左の前足を軸に180度回ると同時に右の前足で、あたしがさっきまで居た場所を攻撃した。
それと同時に狼の首が落ちた。
『あら、もう終わり? 次もまた遊ぼうね?』
そう言ってスキルの使用を終了させる。魔力は……あまり消費してないか。
『種族レベルアップ!』
『《気配遮断》のスキルレベルアップ!』
『《ワープ》のスキルレベルアップ!』
『《メリーさんの電話》のスキルレベルアップ!』
『《後ろの正面だーれ?》のスキルレベルアップ!』
「え? これだけでレベルアップ?」
「それはボスの経験値だからですよ。スキルのレベルはモンスターの保有する経験値とスキルの熟練度の両方で上がりますから」
つまり、スキルのレベルは使い続けてれば上がるし、強い相手と戦っても上がると。
「そのような認識で構いません。そして、これにて戦闘チュートリアルは終了です。それにしても圧倒的でしたね?」
「相手がでかいから、股下から後ろが見えたのよ。おかげで楽だった」
「いや、普通ならでかいのは相手側のアドバンテージなんですけどね?」
「うん、知ってる。それで? 次のチュートリアルは?」
「デスペナルティの説明をして一応チュートリアルは終了となっています。チュートリアルで学んだこと、学んでいないことはヘルプで確認できますのでそちらをご確認ください」
「チュートリアルって長いわりに、教えてもらうことがほとんどないんだけど?」
「それは担当のAIによってマチマチですね。懇切丁寧に教えるAIも居れば、大雑把に教えてあとはヘルプを見るように言うAIも居ますから」
「わーい、十人十色だぁ…。っていやいやいやいや!? それでいいのか、運営よ!」
「運営の方々の口癖は『上がゴーサイン出したし、問題ないでしょ!』です」
「どいつもこいつも駄目じゃん!?」
「大丈夫です。問題しかありません」
「それ問題があるやt…って問題がある発言してた!? もうそれ駄目じゃん! いや、元々駄目だったけど!」
「ちなみに今までの会話はレビューとして、運営に提出しました」
「なんで!?」
「まあ、悪ふざけはここまでにしまして……」
「どこからが悪ふざけだったんだろう……」
「レビューとして、運営に提出したところからです」
「それだとほとんど本気なんですが!?」
「それでデスペナルティですが、意味は分かりますよね?」
「あっれぇ? 久々にスルーされたぞぉ? あと意味は分かりますよ」
「では1文字で説明してください」
「え? えっと、『死』?」
「1文字で、と言ったのになぜ12文字も使ったんですか?」
「そんな使いましたっけ!?」
「鍵カッコと読点とクエスチョンマークも数えます」
「その数え方だと1文字は無理なんですけど!? あとメタい!」
結局このあと長い間これが続き、疲れながらもデスペナルティを聞いた。
デスペナルティは、一時間のステータス低下と活動の制限、そして所持金の半減だった。
「以上でチュートリアルを終わります。これからメリー様を始まりの街『ファースティブ』に転送します」
「名前、絶対『ファースト』から取ってきてる……」
「ちなみに次の街は『セカンダリア』です」
「なんとなく予想ついてたけど、なんで言っちゃうかなー!?」
「それではよい旅をー」
「えっ!? こんな急に転送するの!?」
「はい、頑張ってくださいねー。」
「いや、待って!? せめてありg…」
あたしは言葉の途中で転送してしまった。




