57話目
『よく考えたらイベント用サーバーは時間加速使ってるんだから、カップラーメン作ってる暇ないよ! 久しぶりの食事がぁ……』
体感で3分経ったくらいで、そう嘆きながら現れる白さん。その表情はなんとなく疲れている。
なんというか、うん。お疲れ様ですとしか言えないかな。
そんな白さんは、あたしたちがしっかり別れていることを見ると声をあげた。
『よし、ちゃんと別れてるね! って言いたかったんだけど……赤陣営少なすぎじゃない? なんで一人しかいないのさ!? しかも女の子だし!』
そう、あたしのいる赤はあたししかいなかったのだ。いや、最初はいっぱいいたんだよ? でもあたしが赤に来た瞬間、恐怖を顔に浮かべてみんな青に行っちゃったんだよねー。なんでだろう?
あたしは首をかしげて、考えるが何も浮かばなかった。なのでとりあえず笑顔でいるようにしようと思う。
『あぁ、みんなこの笑顔でやられたのか……。たしかにちょっと怖いけどそれはそれでどうなのさ』
どこか呆れたような声に恐怖を混ぜながら、白さんは呟く。デコに手を当てながら首を振って様になるのは、イケメンの特権らしい。
白さんもどこか様になっているんだけど、その声でしてもカッコよくないと思うの。
そう思っていると、白さんはなにかを思い出したように『あっ!』と声をあげた。
『そういえば言い忘れてたね! 今回のイベントでは、デスペナがない代わりに1度死ぬとイベントサーバーから通常サーバーに転送されるからね! イベントから退場してしまうのが、デスペナみたいなものさ! あ、赤陣営は2回死ぬまではイベントサーバーだよ!』
『赤陣営の人はリスクを背負ってるから、それくらいでちょうどいいんじゃないかしら? 青陣営はスタンプを押すだけだからハンデよ、ハンデ』
『豚! なんで君は出てきたんだい!?』
『いや、ちゃんと項目やマニュアル読んだから来たに決まってるでしょ。あ、スタンプがある場所は赤陣営にも分からないからそっちも探さないとねー?』
『くっ、あとで調教案件だね。……あぁそれから、陣営内で連絡がとれるようにイベントサーバー専用の赤と青の掲示板を用意しているから、それも活用してほしい。まあ、赤は一人だから意味ないけど』
なんかごめんなさい、でもあたしのせいじゃないんです。
いや、本当にあたしなにもしてないよ!? 赤に来ただけだよ!?
『ま、まあとにかく! 赤陣営は最初に学校の中に入ってくれ! 青はこっちが合図をするよ! 赤陣営は準備が整ったら、このスティックを折ること! それを折ればこっちに連絡がいくから、それでオッケーだよ! 青陣営はスタンプ押し終わったら校庭に来るといいよ! こっちはここにいるから』
『えっ、それって白だけよね? なんで私も加えられてるわけ!?』
『ここで調教するために決まってるだろ!』
『やめて! こんな人の多いところで!』
『それは人が周りに居なければ、やってもいいってことかい? 安心するといい、この空間はゲームだからね。君の声や姿をこっちにだけ見せるってこともできるのさ。さぁ、いい声で啼けや、豚ァ!』
『~! ~!? ~~!?』
そんな声を背に、あたしは学校の中に入っていく。
豚さんがなんか既に恍惚とした表情を浮かべていたのなんて、あたしは見てない。……Sっ気がある声だったのに、実態がMだったのは驚いた。
というか即墜ち2コマだったね、アレは確実に。いや、あたしは見ていないの、オッケー?
あたしはそう自分を言い聞かせながら、学校を探索していった。
「とりあえずスタンプの場所を確認しないとね!」
窓の外からは赤と青の満月の光が射し込んで、校内を明るくしていた。
さて、イベントが始まるね!
パワーバランスの都合上、こうするしかなかったんだ!許せメリー!
だってお前のスキル敵も味方も関係なく殺す設定じゃん!初日にアヤが苦労したことは忘れさせねえぞ!
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名前は自信だけはある白豚、そのまんまだな!
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