2話目
見切り発車だから、基本は書き終わったら出す感じで。
『ウェルカム・イットワールド!』
子どものような声が頭に響いてきた。
それと同時に、目の前に青色の半透明なパネル──ウィンドウが現れた。
そこにはいくつかの注意事項が書かれていて、下まで一気にスクロールすると同意するかしないかの選択肢があった。
あたしは注意事項を読まずに、同意するを押した。
するとそのウィンドウが消えて、新しいウィンドウが現れる。
『キャラメイクをしてね!』
なんか子どもっぽくないかな? まあ、いいけど。
とりあえず設定をデフォルトにしてっと。
うん! こんなものかな?
十分ほど時間をかけて作ったアバターは小学校4年生と言われても通じるほど小さな女の子の見た目だった。
瞳の色はどちらもエメラルドのような透き通った緑。髪は腰にまで伸びた金色のツインテール。身長は……130センチもないほど小さい。
服はどうやら変えられないようで、質素な服装をしていたため違和感が大きい。
じゃあ次に進もうか。OKを押すとウィンドウが消えて、また新たなウィンドウが出てきた。
『名前を決めてね!』
あ、やっぱり子どもっぽい。というか一々ウィンドウ消す必要ないんじゃないかな?
まあ名前はもう決めてある、というかどのゲームでも共通で使ってる名前があるからね。
「えーと、『メリー』っと」
本名の芽里を伸ばしただけ。安直だけど、これが一番好き。
怖い話とかでも、『メリーさん』って有名だしね!
よし、次!
『チュートリアルを受けようね!』
……もうツッコまないよ?
何はともあれチュートリアルである。なんだろう? 戦闘訓練とか?
『チュートリアル用のNPCを送るよ! 待っててね!』
あ、NPC来るんだ。
数分待つとどこからともなく集まったポリゴンが人間の形を作っていき、最終的にスーツ姿の、黒縁眼鏡をかけた女性が現れた。雰囲気は大手企業の社長秘書みたいな感じかな? いや、知らないけど。
「お初にお目にかかります、メリー様。わたくしチュートリアル専用AI内蔵NPCーTYPE144、秘書でございます」
「あ、これはこれはご丁寧にどうも……って本当に秘書だったの!?」
「では、チュートリアルに移りたいと思います」
「まさかのスルーですか!? スルー能力高くない!?」
「……では、チュートリアルに移りたいと思います」
「あれぇ? なかったことにされたぞぉ?」
「……さっさと移りたいと思います」
「口悪くなってない!?」
「いいから黙ってチュートリアル受けろ」
「あ、はい。すみませんでした」
なんか声がマジだったので、素直に頭を下げて謝る。
「それではチュートリアルを始めましょう。まずステータスからです。『ステータス』と頭の中で唱えたり口で言ったりすることで開きます。まあ、ステータスを開く意思がないと開きませんが」
「えっと、『ステータス』?」
唱えると、おそらくあたしのであろうステータスが書かれたウィンドウが現れた。
――――――――――――――――――
名前:メリー
種族:《選んでください》
スキル:《スキル創造券×3》《スキル枠×8》
――――――――――――――――――
うむ、当然だけど分からん! とりあえず見れたからいっか。
「確認できましたね? それでは種族の欄をタップしてください」
そう言われて、タップしてみると選択画面が出てきた。
――――――――――――――――――
・ヒューマン ←
・エルフ
・ドワーフ
・セリアンスロープ
・ゴースト
・フェアリー
・ランダム
――――――――――――――――――
「とりあえず大まかでいいので説明してくれませんか?」
「承知しました。まずヒューマンですが、これは平均的なことが特徴です。器用貧乏になりやすい欠点はありますが、物理も魔法もそれなりにこなせて種族スキルによってスキル枠を潰されないため自身の好きなようにスキルの組み合わせを選べます」
つまりヒューマンは、器用貧乏だけどカスタムのやり甲斐がある、と。
「次にエルフですが、魔法系統が得意なことが特徴です。物理系統は苦手ですが魔法の中でも精霊魔法、風魔法に秀でており種族スキルではこれらを巧みに扱えるための補助スキルなどが多いです」
つまりエルフは、魔法が得意なもやしっこである、と。
「次はドワーフですね。ドワーフは生産系統が得意なことが特徴です。戦闘全般は苦手ですが、生産に役立つ魔法などを覚える上に種族スキルで生産すべてに補正の掛かるスキルがあったりと完全に生産者寄りの種族となっております」
つまりドワーフは、生産ばかりの引きこもり、と。
「あとはセリアンスロープですか。これは所謂獣人です。まあ、物理系統は得意ですが魔法系統はダメですね。斥候に役立つスキルが種族スキルにあるので斥候をしたい方にオススメです。あ、狐のセリアンスロープになった場合は例外で魔法が得意です。まあ、どの動物になるかはランダムなので都合よくはいきませんがね」
つまりセリアンスロープは、脳筋ばかりで低確率で魔法が得意な脳筋、と。
「ゴーストとフェアリーは上級者向けですが、一応説明致します。ゴーストは魔法系統が得意ですが物理系統の攻撃ができません。こちらから物理系統の攻撃をすることも敵から物理系統の攻撃をもらうこともありません。ちなみに魔法系統の攻撃をもらうことは苦手で一撃死の可能性もあります」
つまりゴーストは、魔法は嫌ー! と。
「フェアリーは近接系統に弱い一方で魔法が種族間で強い部類に入るので、一撃必殺を狙って物理系統はちょこまか動いて魔法系統は受けてしまうのがいいでしょう」
つまりフェアリーは、ハエ? と。
「最後にランダムですが、上記以外の種族を含めた全種族でルーレットを回してもらって種族を決めます。ちなみに変更不可です」
つまりランダムは、博打、と。
「こんなものでしょうか? なぜか種族に対する評価がおかしいように感じるのですが……。気のせいですかね?」
「気のせいだと思うよ?」
「そうですか? それでは、どの種族にするか決まりましたか?」
「ランダムで」
ゴーストもいいけど物理攻撃できなくなるのがなんともなー。他はまず惹かれない、理由はそれだけで充分。
「承知しました。ではこのルーレットを回してください」
「あ、はい。ってヒューマンの割合多くない!?」
「ランダムでのみ出てくる種族は上位種族ですので、確率が低いのです」
「そ、そうなんだ」
とにかく回してみよう。よいしょ! っと。
回り始めたルーレットは、少しの間回り続けてゆっくりと止まり始まる。お願いだから、ヒューマンだけはナシで!わざわざランダム選んでヒューマンとか、悲しすぎるから!
そしてルーレットの動きが完全に止まった。そこに書いてあったのは……?
チュートリアル長いわ!
誰だ、こんな長くしたやつ!
俺だよ!




