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24話目

 それから長い時間をかけて4階まで探索を終え、あたしは今4階の一室にいる。本当に長かった……。

 まだモンスターがちらほらいたからよかったけど、なにもなかったら途中で断念してたと思うな! 何度でも言うけど広いの! ここは広すぎる!

 途中でゴーストがセット装備ドロップするし、そのセット装備の効果とかもよかったしで、収穫はあったけどね?

 ドロップは置いといて、少し気がかりなことがあるんだよね。あたしはその疑問に洋館が答えてくれる可能性にかけて、半ば独り言のように口に出した。


「なんで全部屋見回ったのに、ボスが見当たらないの……?」


 そう、そうなのだ。ここまで全部の部屋を見て回り、廊下に仕掛けがある可能性もあるって思って廊下も注意して見てた。

 それなのに、何もなかった。

 いや、仕掛け自体はあったんだけどそれで出るのが宝箱とかだし、宝箱をいくら調べても何もなかったしね。というか洋館やっぱり答えてくれないかー、ちょっと期待してたんだけど。

 部屋の間取りも全部同じだったし、完全に手詰まりかなー?

 腕を組んで首をかしげながら何かないか考えてみるも、分からない。情報が足りないんだよね、確実に。


「情報、情報ねぇ……」


 情報と言えば、ここのダンジョンの名前ってなんて言うんだろう?うーん、鑑定案件かな。鑑定、鑑定。


――――――――――――――――――

幻鏡の洋館 ☆―

魔女が住んでいた『幻の洋館』が長い間濃い魔力を浴びてダンジョン化した。

―幻は嘘を写す―

―鏡は真を写す―

―世界は鏡が知っている―

――――――――――――――――――


「…………」


 情報って案外近くに転がってるものなんだね。いや、情報は情報でも謎解きっぽいというかなんというか。でも鏡ってあったっけ?

 このフレーバーテキストの通りなら、持ち歩きできるタイプの鏡があると思うんだけど……。

 今まで手に入れたアイテムの中にはそんなものないし、モンスターがドロップする可能性もなくはないけどモンスターの絶対数が少ないから違う気がする。とりあえず歩きながら考えよっかな。

 部屋の中をぐるぐると回りながら、あたしは頭を動かす。それでも案は出てこない。


「鏡、鏡…。鏡と言えばなにかを写すもの」


 ブツブツと呟く。そのうち洋館が反応してくれるといいんだけど。なにかを写すねぇ……。

 そうだよね。鏡って写すことが仕事だもんね。

 でもありがたいよねー、鏡。あたしは学校に行く前に寝癖がついてないか確認に使うし、彩だって学校に手鏡持ってきてるしねー。


「あとはお母さんが、お化粧のときに使ってたり……」


ん? 化粧?

立ち止まって部屋を見渡す。

勉強机……違う、クローゼット……違う、ベッド……これも違う、化粧台……これだ! あったよ、鏡!

 化粧のときに使ってるんだから、化粧台にもあって当たり前だよね! そうして内心盛り上がりつつも、またしても首をかしげる。


「でもこれ、持ち歩けなくない?」


 だって化粧台に固定されてるし、鏡単体でも持ち歩くには大きすぎるくらいなんだよね。まあ、あたしが小さいってのもあるかも……いやいや、やっぱりないって!

 うーん、どうしようかな。


「とりあえず鏡を通して部屋を見てみる……とかかなー?」


 あたしはそう言うと、鏡を見てみる。角度を変えることで全体像をしっかりと見る。勉強机、クローゼット、ベッド、化粧台の台の部分。うん、変わらないね。それにしてもこの化粧台珍しいなー、台の上が見えるって。台の上が見えても邪魔だと思うんだけどなー。

 まあ、それも置いといて。


「じゃあ触ってみる…かな?」


 鏡の中のアリス的なアレかもしれない。洋館なわけだし、洋風な仕掛けの可能性はあるよね。そう思って触ってみるも、なんの反応もなし。

 訳も分からずあたしは肩を落とした。


「えー……これでもないのー?」


 鏡って言ったら化粧台しかないと思ったんだけどなー。

「さあ、また初めから悩むか」と腕を組もうとしてあたしは気づいた。というかさっきあたし言ってたじゃん。


「部屋の間取りが同じなら、全部屋に化粧台あるじゃん」


 え、全部屋また見直すの? じゃあさっきまでの時間はなんだったの!? 

と思ったものの、仕方がない。

 だって鏡の中までは見てないもん。今回は鏡だけだからさっきより短い時間で終わるはず。そう思いながらあたしは部屋を出る。

 最初にいた部屋が中途半端な位置にあるから探索し終えたか分かりにくいので、部屋の扉は開けたままにしておく。

 とりあえず早く次の部屋行かなきゃ! あたしは駆け足気味に隣の部屋へと入って、探索を進めていった。

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