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18話目

まったく進んでねえ…。

でもキリが良さそうだったからしかたない。

「カオリさんに一本注文してもらうように頼んだので、それで十分かな?」

「おぉ……。カオリが食い意地を張っていた訳じゃないのか」

「屋台のおじさんの、カオリさんへの評価が酷すぎる」

「誰がおじさんだ。これでも14だっての。あと名前はカジキな」

「うそーん……」


 屋台のおじさん改めカジキは、あたしとタメらしい。見た目の年齢が20後半ありそうな中学二年生。うん、キャラが濃すぎてお腹いっぱいだね!


「ちなみにカオリも同い年で、俺たちの関係は幼馴染みだな」

「oh……。この幼児退行してるやつとかおじさんとかとタメなのか、あたし」

「ようじたいこうじゃないもん!」

「いや、ひらがな使ってそうな口調だからね?」

「カオリは怖いことがあるとすぐこうなっちまうんだよ。そこも可愛いんだが、お化け屋敷とかホラー映画とかでデートできないんだよなぁ」


 リア充が自慢してきやがる!? いや、心底困った表情をしているから自慢してるつもりはないんだろうけど。でも無自覚だからこそ余計にダメージが…。

 あたしが裏で精神的ダメージを受けていることなど知らない様子で―いや、実際に知らないんだろうけど―あたしに質問をしてくるカジキ。


「ところでどうやったんだ、これ?」

「どう、とは?」

「いや、カオリは声はどうとか言うが俺にはその声が聞こえなかったからな。全く分からないんだ」

「まあ、簡単に言うと『作ったスキルのレベルあげにちょうどよかった』ですからね」


 簡単に言いすぎな気もするけど、そこら辺はどうでもいっか!

 《メリーさんの電話》は個人にしか使えないから、不便と言えば不便かもしれない。せめて個人か複数人かを選べればどれだけ楽しいことか。考えただけでも、色々な方法で恐怖に染まった顔が見れそうだよ。

 まあ、カオリさんの恐怖が見れただけで今は満足かな。そう考えていると、カジキは何かに納得したような顔をしていた。


 よく感情が顔に出るね、カジキは。ふむ、驚愕くらいなら見れそうだけど恐怖に耐性があるかもしれないね。世の中感情が表に出やすい人ほど、感情の麻痺が早いのだ。

 カジキはリアルで怖い体験をした可能性があるね、あたしにはそれもスパイスなんだけど。その耐性を乗り越えた先にこそ、あたしの見たいものはある! 今まではあったので、是非ともあってください。お願いします!

 閑話休題。


「あー、運営の罠を回避できたやつがこんなところにもいたか」

「あ、運営の罠を知ってる人ですか」

「俺も回避……とは違うけど掠り傷で済みはしたな」

「全部は作れなかった感じですかー」


 話を聞いてみると、カジキはよく幼馴染みのカオリさんと一緒にゲームをやっている仲らしい。まだ付き合うには至っていないとか。

 カジキを盾にするカオリさんの頭を撫でながら言われても、全く説得力がないのはご愛嬌と言うやつかもしれない。もう早く付き合ってしまえばいいと思います、はい。

 話を戻すと、その関係でいつも通りゲームを始めてみたら二人とも運営の罠にギリギリ引っかからず、カジキは一つ、カオリさんは二つスキルを作れたらしい。あたしが最高の三つだし、案外運営の罠を回避している人多いのでは?

 そうやって話を続けて、焼き上がった焼き鳥の代金を払って食べながらまた話していると、やっとカオリさんが回復したらしい。

 正気に戻ったことで幼児退行による恥ずかしさが出たのか、顔を赤くして俯いている。


「あの……えっと…その……」

「さっきはごめんなさい。知らず知らずの内にストレスでも溜まってたのか、つい趣味に走っちゃって」

「いえ、それは大丈夫なんだけど」

「あ、そう? 多分また見かけたときにやると思うけど、そのときはごめんね?」

「いや、もうあれは勘弁して!?」


 割りと本気の目で懇願してくるので、《メリーさんの電話》で元ネタに忠実なこの方法はやめよう。他の方法なら許される……はず。

 どこか遠くで「許されるわけがないでしょ!?」と言っているアヤの声が聞こえた気がするが、幻聴だと思う。

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