嘘つきはだれだ?
マンホールを下ると、下水道につながっていた。
男はどんどん進んでいく。
(どこに連れてかれるんだろう…)
柊真は、不安感から言葉を口にする。
柊真「あの…すいません」
??「どうした、トイレか?」
柊真「あの…あなたのお名前は…?」
下らねえこと聞くんじゃねえ!と怒られると思ったが、男は普通に答えてくれた。
良「名乗ってなかったな、わりぃな。谷山良。歳は20だ。こんな見た目だが、柊真とあまりかわらんぞ。一応、東京本部リーダーやってる。よろしくな」
良は、ニコッと笑った。少し不安が取り除かれた柊真だったが、疑問は次々と湧いてでてくる。
柊真「IDの顔写真と生年月日はどこから…」
良「お前、はいって押しただろ。写真はその時にだよ。生年月日はデータベースから」
(個人情報保護とは一体…)
柊真「本部って、谷山さんは何のリーダーなんですか?」
良「良でいいよ。説明するより行ったほうが早いな」
よし、ここだと止まる良。先ほどまで使っていた懐中電灯をしまいブラックライトを取り出し、壁にあてる。
すると、入口出口とペンキ文字が浮かび上がった。
良「ここから本部に入るぞ」
柊真「ここからってどうやって…」
良は、壁のど真ん中のブロックを軽く押した。
すると両扉が開くかのごとくブロックが左右にわかれその先には、エスカレーターがあらわれた。
柊真「なんだこれすげー!」
良「すげえだろ。魔法でもなんでもないぞ、現実世界だからな。プログラムが組み込まれてんだ。ほら、行くぞ」
良は、エスカレーターに乗る。続く柊真。
二人が乗った後、ブロック塀は閉じられていた。
エスカレーターの横の壁には、自殺者0のニュース記事がびっしりと埋め尽くされていた。
良「俺らはな、この嘘つきな日本を変えたいんだよ。」
柊真「やっぱり嘘なんだ…」
良「やっぱり?」
柊真「だって現に自殺したいって俺、考えてたし」
良「お前、まだ若いだろ。死ぬのには、早ぇよ。ま、それが政府のやつらに知られなくてよかったちゃあよかったがな。」
柊真「どういうこと?」
良「あいつらは、全世界に嘘をついている。そして、人道的じゃないやり方で自殺者0と発表している」
エスカレーターがどんどん進んでいき、光が見えてきた。
良「もう着くぞ。詳しい話は、このあとな」
光に包まれた先には、驚くべき光景が広がっていた。