命の交換はじめませんか?
蝉がうるさくなる少し前、上坂柊真はリビングで横になっていた。
母「あんたいつまでごろごろしてるの、少しは外に遊びに行くでもしなさいよ」
柊真「うるせえ。友達いないの知ってるくせに・・・」
テレビを見ながら、ぶつぶつと言う柊真。
テレビ「ーであるからにして、世界初の自殺者0が実現したわけでありまして・・・」
はあ・・・毎日こればっかだな。
柊真はテレビの番組を変える。その番組でも、自殺者0の話題で持ち切りだった。
柊真(自殺したいやつなんか、ここにいるのに0ってどう考えてもおかしいだろうよ)
柊真は、16歳にして自殺願望が芽生えてしまっていた。友達もいなければ、好きな女子もいない、趣味もなければ好きなことだってない。顔も悪くなければ、良くもない。そう、至って平凡な男子高校生だった。
柊真(もっと違う人生歩んでたらなあ・・・)
これも毎日思うことである。それにも飽きてきたため、スマートフォンを取り出した。
柊真(3ちゃんみよーっと)
眺め専門だが、かの有名な3ちゃんねるという掲示板を検索する。
柊真(うわ、ここでも自殺者0のスレッドばっかりだな)
スクロールして行くと、ひとつだけ違うスレッドがあった。
そのスレッド名は、LIARと書いてあり、コメント数は両手で数えられるか、それより少し多いかぐらいだった。
柊真(んー?)
スレッドのコメントに、正直者集え、とともにURLが貼り付けてあった。
柊真は好奇心から、URLをクリックする。
すると、出てきた文字は至ってシンプル。
『あなたは正直者ですか?』
その下に、はいといいえのボタンがある。
柊真「なんだこれ、なんかのアンケートか?」
柊真は、はいをクリックした。するとスマートフォンの画面が真っ暗になってしまった。
柊真「なんだよこれ!」
再起動すると、何事もなかったかのように作動するスマートフォン。
柊真「ブラクラかよ、くそ!」
柊真は不機嫌そうに階段を上がり、スマートフォンをポケットにしまう。
とあるメールが届いたことを知るのは、後日である。