表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
eclipse code  作者: 遊月奈喩多
夜刃は嘲笑に煌いて
3/4

Route.雄馬(1)

こんばんは、遊月です。

本作eclipse codeは、どのルートから読んでもお楽しみいただける仕様を目指して執筆しております……一応は。雄馬くんのシナリオへようこそ!


本編スタートです!

「ったく、どうなってやがる、これは?」

 ひと仕事(・・・・)を終えて、疲れた体を休ませる前に少しくらいの褒美と心に癒しを。

 そう思いながら訪れた繁華街は、雄馬ゆうまの予想に反してあまりに静かだった。華やかな街の明かりはそのままに、人だけが消えてしまったように。


「まさかとは思うが……、大規模な一斉摘発でも入ったか?」

 自分でも笑えない冗談に、思わず苦笑する。

 この繁華街はほぼ無法地帯だ。特殊サービス店の営業は午前0時までしか認められてはいないが、そんなものはこの街には関係ないだろう。半端な力しか持たない法律や規範程度では太刀打ちできないようなモノが牛耳っている街なのだから。

 本来ならこの街の支配者も雄馬の仕事(・・)の対象なのだが、彼自身にその意志はない。


 何たって、敵わない。

 彼我の実力差が著しい仕事はしない――それが雄馬の信条だった。彼にとってこの仕事(・・)は生き甲斐のようなものになっているし、その為に大抵のものは犠牲にしてこられたが、その為に命まで捧げてやる気はない。


「それにまぁ、この街のそんなところにはだいぶお世話になってるしねぇ」


 先日の仕事終わりに味わったものを思い出し、雄馬の顔には笑みが浮かぶ。浴場にまみれた笑みの中でもその顔が醜い印象にならないのは、並外れた容姿の恩恵か、はたまた緩めながらも鋭さを一切失わない瞳の輝きによるものか。

 それにしても、静かだ。

「んじゃま、この異変(・・)の原因を片付けて、ひとつやっこさんに恩でも売っとくかね。俺に目を付けられたのが、アンタの不運だったな――――」

 どこかにいるであろう、この異変の「原因」に向かって微笑みかけてから。


 得物の短刀を鞘から抜いて、雄馬は悠々と静寂の街を歩き始めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ