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eclipse code  作者: 遊月奈喩多
詩奈は静かに眠りたい
2/4

Route.詩奈(1)

こんばんは、遊月です。

eclipse codeのルート選択は自由です……が、恐らくこちらを最初にご覧になる方が多いことでしょう。詩奈さんのシナリオへようこそ!


本編スタートです!

 ――――ふと、眠りの闇から吐き出されるように詩奈しいなは目を覚ました。

 まだ夜明けには程遠い、暗い空を望む窓からは、近くの不夜城がごとき繁華街からネオンライトの明かりが無遠慮に注ぎ込んでくる。カーテンを設置しておきたいところだが、生憎そんな気の利いたものを買う金があるならまだ必要なものがたくさんある。


 そんな己が状況を嘆くよりも先に、詩奈は妙な違和感を覚えた。

「何か、こんなに音しなかったっけ?」

 ――――静か過ぎる。

 枕元に置いてある携帯を見ると、時刻は午前2時半。いわゆる草木も眠る時間というものだ。しかし、それはあくまで一般的に――それもあくまで言葉の上でのもの。少なくとも詩奈が身を置いているこの街にとっては、そんな時間ではまだ眠りには早すぎる。

 一層賑わいを増し、華やいだ街は更にその輝きを強める時間帯である。


 薄い窓を隔てた向こうから無遠慮に響いてくる艶めいた媚笑を両手で塞ぎながら眠るのにも、いつの間にか慣れてしまっていた。

 だからこそ、違和感に押し潰されそうだ。

「おかしいよね、これ? ていうか、ほんとに勘弁してよ」

 何かが起こっている。

 それだけはわかる。


 だったら、この異変をどうにかしなくてはならないだろう。重々しい溜息を吐きながら、詩奈はベッドの脇に脱ぎ捨てていた服を身に纏う。面倒だ、面倒だが、それでも向かわなくてはならない。このままでは、彼女にとって非常に都合が悪い。

 別に、窓の外の不夜城を彩る住人たちがどうなろうと知ったことではない。

 しかし……

「こんな静かなままじゃ、落ち着いて寝れないじゃない……」


 彼女は、己が安眠の為に立ち上がる。

 闇を裂くような緑色に輝く左目で、うんざりしたように天を仰ぎながら。

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