表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
菖蒲の退屈  作者: 新檀ハル斗
1/1

空返事ばっかのKranke

傾きかけた歪な橙色の陽を僕は感じている…冷えきった壁は次第に体温によってすでに暖かいが、それと対照的に体温の主である僕はは陰湿で冷たい雰囲気を纏っている。朝から晩までずっと壁背を預け座っているのだ、好き好んでそうしているわけでは無いが。正確にはすることがそれしか無いのだからしている、に近い。周りには無数の人の形をしているとは到底思えない《モノ》が 今日 もいつも通りにいた。いつも独り言をボヤいている足が一本の点滴と友達のタコ、頭の半分が腐ったラッコ、頭が金魚で身体のみ人間のナースなど僕の周りを人外が(うごめ)いていた。もちろん、言い尽くせないほどほかにもいるが…どうして僕はココにいるのだろうか? いつからココにいるのだろうか?わからない事ばかりだが、確かとしてわかることは人間はこの僕、エーリッヒ以外いないという事とココが病院だと言い事だ。

向こうから無邪気な子供の声がする、どうやら向こうで《モノ》らが遊んでいるようだ。「ねーねーツミキ貸してよお。次はわたしの番だよお。」とムラサキ色の頭から手足が生えたワシが言った。「うん。」と感情も人間的な暖かさもこもっていない声でツミキで遊んでいる目と口と四肢が付いたゴミ箱は答えた。返答後、5分はツミキのぶつける音と他の《モノ》が遊ぶ声しか聞こえなくなった。どうやらゴミ箱はワシにツミキを貸す気は毛頭ないようだ。貸してくれなくて苛立ったのか、「ねぇ、貸すって言ったじゃん!早く貸してよ!」と大声でゴミ箱の耳元で叫んだ。するとゴミ箱は先程と同じように「うん。」と答えた。普通の考えを持っているならばどちらの《モノ》も明らかに人間ではしない行動だ。ツミキを貸してくれないからとはいえ、いきなり耳元で叫ぶヤツがいるか?その大声を聞いたとはいえピクリとも反応せずにひたすらツミキをぶつけて遊ぶヤツも大概狂っていると思うが。こんな思考まで人間とはかけ離れたヤツらと少なくとも僕は半年は共にこの病院で過ごしていた。僕はこの腐りきった雰囲気のプレイルームから逃げるように出て行った。

いつもの153番の個室ーそう、僕の病室へと逃げた。傾きかけた陽はすでに沈みきっており闇が辺りに広がっていた。正直、僕は個室にいれる事は感謝している。何故ならただでさえわけのわからない《モノ》と睡眠も共にはしたくなかったのだ。仮に一緒だった場合はすでに気が狂いきって廃人にでもなっていたのではないかと僕は思う。そうベッドの上に仰向けになって考えていた時、病室のドアが開いた。先程までプレイルームにいた頭が金魚のナースが入って来た…

初めての投稿です。拙いところもありますが、暖かい目で見ていただけるとありがたいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ