決戦前夜
城へと戻ると、丁度今日の試験終了のアナウンスが流れた。
俺はユキたちへしばしの別れを告げ、ログアウトし会場を後にする。
帰宅するまでの間も、明日の決戦に向けて頭がフル回転し続けた。
神話のダンジョンでは有用そうなアイテムがいろいろと手に入ったので、それを一つずつ思い出す。
まずは幽体化の首飾り。これはアンクーを倒した時にドロップしたもので、装備すると壁をすり抜けることが可能になるらしい。不意打ちに最適だ。
次に飛翔の首飾り。これはグリフォンがドロップしたものだ。装備すると浮くことができるようになるらしい。これを使えば水面を渡ることもできるため、幽体化の首飾りと同様に不意打ちに使える。
実際、そうでもしなければカミヤには勝てないような気がするが、それと同時にこんな小細工が通用するのかという疑問も生じる。
他にも攻撃が全てクリティカルとなる達人の首飾りなどというものもあった。グリズリーが落としたものだ。
どれも他にはないユニークな能力ばかりで迷うが、やはり厄除けの首飾りが一番無難な気がする。丁度三つあるので、ユキとディアナ、そして俺が装備しよう。
イシスとジャンヌダルクは眠りや麻痺への強力な耐性を持っていることだし、ティアマトはそもそも装備できないようだった。武器防具や弓矢も装備不可能で、魔法書や薬瓶さえも自分では使用できないようだ。あれ程強力なモンスターなのだから当然のデメリットだろう。
さて、残りはイシスとジャンヌダルクの首飾りだ。ジャンヌダルクには幽体化の首飾りを装備させ、一刻も早く俺たちと合流してもらうのがよさそうだ。
イシスに持たせるべき首飾りで迷っていると、不意にもう一つ持っていたのを思い出した。それは幽体化の首飾り同時アンクーを倒した時にドロップしたもので、忍者の首飾りというものだ。装備していると罠にかかりにくくなり、満腹度の減少も抑えられる。
ただし、コロシアムの戦いでは罠が存在しないとの情報を受け付けの人からもらったし、それ程長期戦にならないため満腹度の心配もいらない。
だからこそ選択肢から除外してしまっていた。
忘れていたのだ、忍者の首飾りの持つもう一つの効果を。それは気配を消すことができるというもので、動かなければアンクーたちのように敵に気付かれなくなるらしい。
イシスにはこれを装備してもらい、サポートをしてもらうとしよう。
それと、武器防具は今のままでよさそうだ。弓矢だけ、シルバーブレッドをユキに渡しておけば後は問題ない。
丁度そこまで考えた時、家へと着いた。シャワーを浴びる間もごはんを食べる間も、残りの作戦で頭がいっぱいだ。
装備はこれで万全だとして、持ち込むアイテムを何にすべきか。事前にもらった情報によると、五つまで持ち込むことが可能らしいが、当然仲間に持たせた分もカウントされる。
スリープやパラリシスの魔法書は、イシスがいるので無駄になるかもしれない。チェスやアラームなんてもってのほかだ。クイックも敵の動きが速くなるだけでこちらには何の恩恵もないだろう。
となると、部屋全体を攻撃できるサンダーか、もしくは薬瓶という答えに行き着く。中でも敵味方どちらへも使用でき、用途の広いワープ薬は強力だ。
透明人間の薬も強力なので外せない。それと同時に、こちらもカミヤが透明人間の薬を使用してくるのを警戒しなくてはならない。よって、目薬も候補に上がる。
後は、怪力の薬や鉄壁の薬も強力ではあるが、そんな露骨な手段で勝てる相手ではないだろう。
結論として、ワープ薬を三つと透明人間の薬、それから目薬の合計五つに決めた。ワープ薬の内一つはユキに持たせよう。
作戦も練り終えたことだし、明日に備えて早めに寝るとするか。万全の状態で明日の試験へ挑むために……。




