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ルーキークラス

 バザーへと着くと中央のモニターに人が集まっていた。仲間モンスターを連れていることからプレイヤーだと判断できる。

 何をそんなに一生懸命見ているのだろう? これだけ大勢の注目を集めるとなると、俺も気になる。


「ユキ、先にあれを見よう」

「はい」


 二人でバザー中央に向かいモニターを見ると、そこにはあのカミヤとアズールが映っていた。

 同じフロアには別なチームも一組映っている。それは赤い鷲のようなモンスターを連れた兵士で、カミヤたちはそいつらと戦っているようだ。

 両チームは互いに少しずつ近づき、そしてついに小部屋で対面した。

 兜と鎧で武装する兵士がゆっくりと歩み寄るのに対し、カミヤはやはり堂々と待ち構えている。

 慎重な立ち上がりかと思いきや、先陣を切って飛び込む者がいた。あの鷲のようなモンスターだ。

 中々のスピードでカミヤたちに迫る鷲モンスターだったが、アズールが突如その目の前に現れ、そいつに向けて右手をかざした。途端、青い雷によって鷲は撃ち落とされ、それっきり動かなくなった。

 普通ならここで油断してもおかしくないのに、カミヤは依然として隙を一切見せない。次の瞬間、兵士はナイフを投げつけたが、カミヤはひらりと余裕そうにかわした。

 そしてさらに、反撃とばかりにアズールが兵士にも雷の魔法を放った。動かなくなったその様子から、誰がどう見ても決着だ。

 遅れてきたせいでよくわからないが、結局これは何だったんだ?


「あの……これ、一体何なんですか?」


 そう問いかけると、目の前の男はゆっくりと振り向いた。


「何だ、知らないのか? コロシアムだよ。二番目のダンジョンに入る権利は、このルーキークラスをクリアしないと与えられない」

「そういうことだったのか。これをクリアしなければ……」

「俺たちも当然挑むつもりだが、しばらくは様子を見るつもりだ。先に挑戦したいなら、一つ下の階に行ってみな」

「下の階か……。情報ありがとうございます」


 一礼し、静かな場所で戦略を練るためモニター周辺から離れた。

 さっき行われた試合の様子から何かヒントを得られないかと、映像をもう一度思い起こしてみる。相手はさっきと同じ兵士なのだろうか? 鎧を装備してたし、ブロンズ製のナイフでは攻撃が通らないだろう。

 さて、どうしたものか……。


「私が……私が魔法を使えないから、キリノ様にご迷惑を……」

「いや、ユキのせいなんかじゃないよ。それに、俺としてはこの方が楽しいし、アズールみたいな仲間は頼もしい反面少し信用するのが怖い。俺が勝手にそう思っているだけかもしれないけど、でもやっぱりユキがいてくれる方が俺は安心できる」

「……本当に、本当に私でいいんですか?」

「ああ、何も問題ない。それに……コロシアムも絶対に勝てるさ」


 そう言ってユキの頭を撫でると、うれしそうに涙を浮かべていた。


「私、本当にどうしようもないくらいの落ちこぼれで、自分に自信が持てなくて……。ですが、おかげで少しだけ勇気を持つことができました。ありがとうございます、キリノ様」


 ……やっぱり、どう考えても今俺の目の前にいるこの子には、ちゃんと血が通っている。心が存在しないただのデータだなんて、とてもそのようには思えない。

 他の仲間モンスターも手に負えないようなタイプはいないだろうけど、俺はやっぱりこの子みたいに穏やかな方がいい。アズールと組んでいたら……俺は緊張してミスを連発するかもしれないな。それに、こちらから話しかけるまで何も言ってくれない気がする。そんな関係ではチームとして上手く成り立たないだろう。


「キリノ様、その……」

「どうした? ユキ」

「とりあえず一度コロシアムへルール確認に向かわれてはいかがでしょうか? 余計なことでしたら、申し訳ございません」

「いや、ユキの言う通りだ。それに、ユキからも話してくれた方がうれしい」

「ええと、その……」


 ほおを赤く染めるユキ。やはり、冷たいイメージのある他のパートナーモンスターよりも、こうした本物の反応リアクションをしてくれるユキの方が俺には合っている。


「それじゃ、行こうか」

「は、はい!」


 照れているユキに癒されつつ、先程の案内通りにコロシアムへと向かう。

 階段を下りると、そこは……。


「広いですね」

「ああ……」


 大理石で出来た大きな部屋。視界に収まりきらない程の広さだ。

 手前には受け付けらしきカウンターがあり、背の高い細身の女性が凛とした表情で立っている。その先には大きな柵に囲まれた魔法陣があり、カウンター側からしか入れないようだ。

 そして、向こう側に見えるいくつかの部屋は、おそらくプレイヤーの控え室だろう。


 とりあえず、受け付けの人へと歩み寄った。


「すみません、来たばかりでよくわからないんですが、ここはコロシアムで合ってますか?」

「はい、お間違いありません。こちらではランクごとにプレイヤーの方々に戦闘していただきます。初めての方でしたら、ルーキークラスとなります」

「ルーキークラス……」

「はい。仲間モンスターは一体、アイテムは装備品を除いて二種類までご使用できます。他のアイテムや仲間モンスターはこちらでお預かりします。なお、コロシアム内で使用したアイテムはご返却いたしますのでご安心を。また、仲間モンスターも通常のダンジョンと同じく命の心配はございません」


 なるほど、制限があるわけか。それと、おそらくそうだろうからと思って気にしていなかったが、仲間モンスターは死んだりすることはなく、ダンジョンから出れば元通りというシステムだと確認できた。

 さて、それなら……。


「俺はこのブロンズ製のナイフと盾を装備し、爆薬を二つユキに持たせて参加しようと思うのですが、可能ですか?」

「特に問題ございません。それでは参加なさいますか?」

「はい、お願いします」


 受け付けの女性は手元の書類に何やら書き込み、それから顔を上げた。


「準備が完了しましたので、魔法陣へどうぞ」

「行ってきます」


 ユキにアイテムを渡し、残りを受け付けの人に預かってもらう。

 そして、俺はユキを連れて魔法陣へと乗った。

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