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伝説の竜ティアマト

 仲間たちの力を借りながら何とかして乗り切った。

 そして、上手く合流を果たせたその十六階にいる内に、できる限りレベル上げを済ませる。

 大きな手でつかみかかってくるグリズリー、炎や氷の他に雷まで吐くドラゴン、持っているアイテムを部屋中にばら撒くグリフォン、壁をすり抜けながら敵を呼び寄せる見えない敵アンクー、それから同じく敵を呼び寄せる眠り魔法が効かないベリアル。どれも厄介な敵ばかりで、ダンジョン攻略は困難を極める。


 俺は透明人間の薬や、ターゲットを俺ではなく別な敵へと向けるフェロモン薬、それからチェンジの魔法書やワープ薬を駆使して戦った。いや、逃げ続けたと言った方が正しいだろう。

 俺はそれらのアイテムを駆使し、上手く戦闘を回避し続けた。ある時は石化薬で敵の動きを封じるのと同時に通路を塞ぎ、またある時はおびえ薬とフェロモン薬のコンボで逃げ回る身代わりを作り出して逃れた。

 そうして逃げ続けながらも仲間たちと合流し、その後でレベル上げやアイテム回収をしてゆく。

 そんないつ倒されてもおかしくない攻略スタイルで進み続け、幸運にも最後の階層へ続く階段の前までたどり着くことができた。


「いよいよ最後のボスだ」

「長かったですね……」

「ここで負ければ全てが水泡に帰してしまう。だが、レベルもぎりぎりまで上げ続け、上限の50まで到達した。アイテムも拾えるだけ拾ったし、出来ることは全てやった」


 俺はここまでの冒険を振り返る。本当はもっと上手く戦えた瞬間があったのではないか? そのように思える節もあった。だが、それらはもう悔やんでも仕方がない。


「さて、それじゃあ向かおうと思う。準備はいいか?」

「はい!」


 俺はユキの元気な返事に後押しされ、階段を下りた。

 その先のフロアは地下十五階で見たものに似ていたが、壁に無数の大きなろうそくが立てかけられており、それらは青白い炎を灯している。

 南側にはやはり帰還用の魔法陣が用意してあり、通路は北へ続くものが一本のみ。


「帰るという選択肢は俺にはない。それでいいな? ユキ」

「もちろんです。キリノ様ならば最後のボスも倒すことができます。私は信じています」

「そうか……。ありがとう」


 俺はユキを抱き締めた。


「……キリノ様?」

「最後まであきらめずに戦うと誓う。だからユキ、一緒に戦ってくれ」

「はい、キリノ様。全力でお手伝いさせていただきます!」


 頼もしい仲間たちを見回し、勇気が湧いてきた俺は通路を進んだ。ゆっくりと一歩ずつ踏み締め、その一歩ごとに気合を入れ直す。

 そして、部屋へと入ると巨大な竜が待ち構えていた。顔だけが人間の女性で、それ以外は屈強なドラゴンそのものだ。


「グルルルル……」


 これまでのボスとは違い、人語を離さないらしい。その竜は低く唸り声を上げ続けている。


「俺は負けない!」


 剣をその竜へと向け、俺は高らかに宣言した。


「グルアアア!」


 たちまち竜は飛び上がり、空中から炎で攻撃してくる。

 ディアナもジャンヌダルクも剣が届かず、弓矢で応戦するが翼を羽ばたかせただけで竜はそれを防ぎきってしまう。

 イシスはスリープやパラリシスをかけ続けているが、ほとんど効果がない。


「キリノ様! 惜しまずにアイテムを!」

「ああ。ここを乗り切れば俺たちの勝ちなんだ! 使い切る覚悟だ!」


 俺はサンダーとフリーズの魔法書を使用し、竜へと攻撃を加えた。


「グアア!」


 竜は叫び声を上げた。ほんの少しだが着実に効いているようだ。


「援護します!」


 ユキも竜の後方へと向かい、弓矢を放った。後ろからではさすがに吹き飛ばせないらしく、その攻撃も着実にダメージを与えた。

 一方でディアナとジャンヌダルクは竜の気を引き付けている。そして、炎や氷の息を、盾で防ぎながら弓矢で応戦していた。


「ディアナ! ジャンヌダルク! これを使え!」


 俺は回復薬や怪力の薬、それから鉄壁の薬も投げつけた。

 元々強い二人なので、恐ろしい程の戦力にまで上がっているはずなのだが、それでも矢は届くのが精いっぱいでほとんどダメージを与えられていないようだ。

 と、その時。竜は突然地へと降り立ち、ディアナへと鋭い爪を振り下ろした。その一撃でHPはほとんど消し飛び、竜は続けざまにジャンヌダルクへも爪を振り下ろす。しかし、何とかその攻撃をかわしたようで、HPは削られなかった。

 そして、竜は再び上空へと舞い上がる。


「ユキ! ディアナへとヒールを!」

「了解です!」


 ユキはヒールを数回使用し、ディアナのHPをマックスまで戻した。

 その間に俺も魔法書や弓矢で攻撃する。


「グルアア!」


 突如として竜はこちらへ振り向き、爪を振りかざした。


「く……!」


 あまりの恐ろしさに目を閉じたが、衝撃がない。恐る恐る目を開けてみると、ディアナが俺の盾になっていた。


「ディアナ! 大丈夫か!?」


 すぐさま俺とユキでそれを回復した。

 その間に竜は再び上空へと舞い戻る。

 これを繰り返していたら、こちらのHPの方が先に尽きてしまう。なんとかして打開策を講じなければ……。

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