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百鬼夜行

 地下十六階へと下りた俺は、念のため目薬を使用した。姿の見えない敵から奇襲を受け、劣勢に立たされては困るから。

 その結果、部屋の隅に潜んでいた敵が浮かび上がる。だが、それは予測していたレイスとは違い、今までに見たことのない敵だった。黒いローブを着て鎌を持った亡霊で、まるで死神のようなモンスターだ。

 そいつは俺が弓矢を構えると恐ろしいスピードで迫ってきた。放った矢はひらりとかわされ、振り被っていた鎌が勢いよく弧を描く。


「……ぐ!」


 イージスで受け止めたにもかかわらず、なかなかのダメージをこうむった。目薬を使用しないと姿が見えず、攻撃力も移動力も高い。それだけでも充分なのに、そいつはゴーストやレイス同様に俺の目の前で敵を呼び寄せた。


「調子に乗るな!」


 俺はスリープの魔法書を開いた。

 それによりほぼ全員が眠ったのだが、一匹だけ全く効いていない敵がいる。そいつは無邪気そうな笑みを浮かべ、回転する炎の輪の中にいる幼い双子だ。

 システムメッセージを確認すると、ベリアルがスリープを無効化したと表示されている。

 今までは眠らなかった時でも表示されなかったというのに、今ここで初めてそれが表示された。

 そのことが表すのはただ一つ。このモンスターは、スリープが一切効かない完全耐性を持った敵だということだ。

 おそらくは麻痺なども全て無効化してしまうだろう。


 と、一瞬でここまで理解するのと同時に、ベリアルは瞬時に俺の目の前まで接近し殴りかかってきた。

 俺は咄嗟にそれをイージスで受け止めたのだが、腕に重たい衝撃が走る。そして立て続けにもう一度殴りかかられた後、炎を浴びせられた。

 システムメッセージには二度の打撃はクリティカル、炎による攻撃はファイアの魔法だと表示されている。

 もうすでにトラウマレベルの恐怖を植え付けられているというのに、ベリアルはさらに敵を呼び寄せた。それにより新たに複数の敵が現れる。

 まともに戦って勝ち目なんかあるわけがない!

 俺はリュックから薬瓶をつかみ取った。ここまでの間に手に入れた透明人間の薬というアイテムだ。

 それを使って姿を消し、なんとかその部屋から脱出した。


「ユキ! そっちは無事か!?」

「はい。ディアナさんとジャンヌダルクさんが戦ってくれています。とても強力な魔物ばかりですが、キリノ様は大丈夫ですか!?」

「何とかして今逃げているところだ。ユキたちは今どこにいる?」

「おそらく中央の部屋です。通路が四方に続いています」

「俺が今いるのは南東の部屋だ。真東の部屋はとんでもないことになっているから絶対に行くな!」

「わ、わかりました!」

「南の部屋で落ち合おう」

「了解です!」


 俺は薬の効果が切れない内に急いで次の部屋へと向かう。

 そうして着いた先では、大きな竜と熊が待ち構えていた。先程呼び寄せられた群れの中にもいたモンスターだ。

 なるべく気づかれないようにと祈っていたのだが、不運なことに、そこで透明人間の薬の効力が切れてしまった。


「グルルルル……!」


 竜は低く唸り、こちらへと氷の息を吐いてきた。イージスで防いだがかなりのダメージを受けてしまう。

 そして、熊はこちらへと突進してきて、俺の体をつかんだ。


「離せ!」


 俺は剣でそいつを攻撃するが、ほとんどダメージを与えられない。

 そして、お返しとばかりに重たいパンチを繰り出された。腕に衝撃が走り、クリティカルとのシステムメッセージが流れる。

 接近戦はどう考えても不利。一度退いてユキたちを待ちたいのに、こいつは俺をつかんで離そうとしない。

 と、その時。部屋へユキたちが到着した。


「キリノ様!」


 ユキが叫んだ。それに応じるかのようにイシスがスリープを使用し、熊と竜は眠った。

 そしてディアナとジャンヌダルクの斬撃がそいつらを切り刻み、ドラゴンとグリズリーを倒したとのシステムメッセージが流れる。


「助かった。ありがとう」

「ご無事で何よりです」


 再会の喜びを分かち合っていると、今度は角を生やした馬に乗った騎士が現れた。そいつは部屋へ入ってくるなりディアナへと向かって矢を放った。

 不意の出来事で盾による防御が間に合わなかったディアナは、HPを四分の一も減らしている。


「ディアナ!」


 俺は慌てて回復薬を使用し、その間にジャンヌダルクがそいつを倒した。

 システムメッセージを確認すると、今のはユニコーンナイトという敵で、シルバーブレッドを放ったという情報が表示されている。


「キリノ様、今のモンスターが何か落としたようです」


 ユキの指し示す先には弓矢が落ちている。それを拾って詳細を開くと、先程のシルバーブレッドだった。効果を読んでみると、必ずクリティカルとなるようだ。


「敵襲です!」


 休む間もなく再びユキが叫んだ。

 視線を向けると、胴体がライオンで顔がわしのモンスターが通路から侵入してくるところだった。ゲームでお馴染みのグリフォンだ。

 そいつは部屋へ入るなり翼を羽ばたかせた。途端に俺のリュックから風が吹き出し、アイテムが部屋中に散らばった。


「何てことしやがる!」


 俺は弓矢をそいつへと構えた。すると、今度は炎を吐いて対抗してくる。

 慌てて俺は盾へと持ち替え、寸前でそれを防いだ。

 俺が大慌てしていると、ジャンヌダルクがそちらへ向かってゆき、何度か切り払って撃退した。


「キリノ様、これを……」


 ユキが散らばったアイテムを集めてきてくれた。


「ありがとう。それにしても酷い敵ばかりだ……」


 どいつもこいつも曲者くせもの揃いで、この先の探索が不安になる。

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