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聖女ジャンヌダルク

 再び困難へと立ち向かう勇気と力をユキからもらい、俺は探索を続けた。

 しばらくして、アサシンナイトやフレスベルグの攻撃も脅威じゃなくなり、次のフロアへと進んだ。そこでも出現するモンスターは今までと同種で、それは次のフロアでもまた次のフロアでも変わらなかった。

 そうして階層を進んでゆくと、気がついたら地下十五階へと到達していた。

 今までと違って全員とはぐれずに済み、部屋の南側には魔法陣が設置されている。

 見回すと壁や床は人工物のようにきれいに整っており、それでいて何か厳かな雰囲気がある。神殿という言葉が容易に浮かんだ。

 どうやらここはボスのいる階層のようだ。


「キリノ様、これは!?」

「ああ。最下層でもないのにボスの登場とは、今回のダンジョンは本気で潰しに来ているのかもしれないな……」


 おそらく、今回は地下十五階と最下層の合計二度もボスを用意しているのだろう。まずはその一体目というわけだ。


「とりあえずユキにはこのワープ薬とスリープの魔法書を渡しておく。効果のわからないアイテムはなるべく使わないでくれ」

「了解しました」

「ディアナは基本的には敵を攻めてくれ。俺たちを守ってほしい時はその都度指示するから」

「承知」

「イシスはとにかくスリープや麻痺魔法をかけ続けろ。危なくなった時はチェンジで助けるように指示を出す」

「確かに承った」


 後は俺たちのレベルがボスを倒せるまでに上がっていることを祈るのみ。

 武器防具の面では、幸いにもここまで来る途中で曲芸師の盾というものを拾った。空気のように軽く、装備しただけで身軽になる不思議な防具だ。

 これで何度か凌ぐことができればよいのだが……。


「……キリノ様?」

「ああ、ごめん」


 俺が不安だとユキも心配してしまう。堂々とボスに挑もう。


「よし、それじゃ行こう」

「はい!」


 真っ直ぐ続く通路をゆっくりと一歩ずつ踏み締めてゆく。そうして部屋へと入ると、白馬に乗った鎧の女騎士が待ち構えていた。


「私はジャンヌダルク。そなたは敵か?」

「そういうことになるだろうな」


 俺はジャンヌダルクへと剣を向けた。


「我が軍にあだなすのであれば、致し方ない」


 そう述べてジャンヌダルクは俺へと突進してくる。だが、ディアナが応戦に向かったので、俺へのダメージは回避できた。

 その間に俺も、ジャンヌダルクが剣を振りかざした隙を狙って弓矢を放ったのだが、的確に盾で防がれてしまう。

 しかも、ジャンヌダルクは間髪入れずに構えていた剣を振り下ろした。ディアナはそれを青白く光る盾で防ごうとしたが、強い力で押し切られてしまい、結果としてダメージをこうむった。

 システムメッセージにはクリティカルと表示されており、ディアナのHPが四分の一程も減少している。


「ディアナ! これを!」


 俺は回復薬を投げつけた。その薬瓶はディアナに当たって割れ、先程のダメージを回復した。

 ここまでの間、ユキはずっと矢を放ち続けているし、イシスもスリープとパラリシスをかけ続けているのがシステムメッセージで確認できる。にもかかわらず、ジャンヌダルクはそれら全てをものともせず、その脅威の戦闘力でディアナをも圧倒していた。

 このままでは負けてしまう。


「これも使え!」


 俺は道中で手にした怪力の薬と鉄壁の薬をディアナへと投げつけた。その効果は絶大だったようで、ディアナはジャンヌダルクの剣を盾で受け止めることに成功した。そして、そのまま青白い剣でジャンヌダルクへと切りかかり、撃退する。

 後退ったジャンヌダルクは俺へと顔を向けた。


「……お主から倒すべきか」


 そう言うなりジャンヌダルクはこちらへと駆け寄る。だが、ディアナが一瞬で俺の前に現れ、それを阻止した。


「そこをどくのだ!」


 ジャンヌダルクは果敢に剣を振り回し、ディアナへと迫る。だが、ディアナは一歩も退かずにそれを盾で受け止めきった。

 俺はそれを回復薬でサポートしながら、隙を見て弓矢で応戦する。


「く……! それなら……」


 ジャンヌダルクは馬を前方に向けたまま後方を向き、弓矢を構えた。ユキが狙われている!


「やめろ!」


 俺は咄嗟にジャンヌダルクへと向かって駆け出してしまっていた。気づいた今、それがどれ程愚かなことかは自分でもわかる。

 案の定、ジャンヌダルクは瞬時に俺へと向き直り、弓矢を放った。


「……く!」


 あまりの恐怖に俺は目を閉じてしまった。だが、数秒経っても何事も起こらない。

 恐る恐る目を開くと、ディアナがそれを代わりに受け止めていた。システムメッセージにはクリティカルと表示されている。


「ディアナ!」


 俺は慌てて回復薬を使った。確かに守れと命令したのは俺だ。だが、体を張って守ってもらったと思うと心が痛む。


「隙あり!」


 ジャンヌダルクは再び後方を向き、弓矢を構える。

 ユキを守れ! そう叫ぶより前に矢は放たれてしまった。

 まずい。ディアナに守ってもらうには指示を出さなければならないが、もう間に合わない。

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