正体不明のアイテム
地下二階へ下りると、また全員ばらばらになってしまった。
だが、今回はレベルが上がっているため先程よりは満足に戦うことができるはずだ。ユキには三種類のアイテムを渡してあるし、イシスにも今度はしっかりと指示を出しておいたので問題ないと信じたい。
それと、少し落ち着いたことにより、見落としていた情報も入ってきた。どうやらこのダンジョンは全部で地下三十階まであるらしい。
前回冒険したピラミッドのダンジョンと同じ深さだが、今回のダンジョンは長期戦となるだろう。敵が強いためしっかりとレベルを上げることが要求されるからだ。
このフロアでも、しっかりとレベル上げとアイテム回収を行わなければならない。
不意の出来事に見舞われても問題ないか、慎重に確かめながら進んでゆく。敵が少しでも多い時は自分から近づかずに向こうからこちらへ来るのを待つ。罠や特殊能力を警戒しての行動だ。
そうして戦っている内に、先程見た巨大な鳥のモンスターと赤いコウモリも余裕で倒せるようになってきた。それぞれストームホーク、ブラッディバッドと名付けられており、その名前からも大体強さや能力を予測することができる。今現在は遠くから弓矢で倒しているが、もうそろそろ接近戦を挑んでも問題ないだろう。
そう思い、積極的に探索を進めてゆくと、モンスターが全て眠っている部屋へと着いた。入口付近からでもそのモンスターの正体はわかる。エルダーアーマーが三体とブラッディバッドが一体だ。
これならばそれ程厄介な能力を使われることもないだろうから、妖刀ムサシの切れ味を試してみるとしよう。
起こさないように、なおかつ罠がないか剣先で慎重に調べながら歩み寄り、ついに目の前まで着いた。
思いっきりムサシを振り被りエルダーアーマーを切り払うと、堅そうな鎧にひびが入り、飛び起きたそいつは反撃してきた。だが、アイアンシールドで防いだ結果ほとんどダメージを受けずに済み、もう一度斬撃を浴びせると鎧は崩れ落ちた。
どうやらすでに適正レベルまで上がったようだ。
とすれば、さっきまでの弓矢主体の戦い方から接近戦へと切り替えても問題ないということ。
罠は怖いので、念のためこちらから近寄ることは避けて、敵が来たところを返り討ちにするスタイルで戦おう。
そう決めて積極的に探索している内に、三人とも合流できた。ユキも渡しておいたアイテムを温存したまま弓矢だけで逃げ切ったようだ。
このまま次のフロアへ進もうかとも思ったが、敵のレベルが急激に上がったら困る。
通常のダンジョンものならゲームバランスを考えてなだらかに難易度を上げるだろうけども、この試験用のバーチャルゲームもそうだとは言い切れない。
現にこの神話のダンジョンは十分な武器防具も集まらない段階だというのに、最初の階層から強力なモンスターを用意してきた。そのことからも、念入りにレベルを上げた方がよさそうに思える。
「ユキ。もうしばらくこのフロアでレベルを上げようと思う。今回は長期戦になりそうだが、大丈夫か?」
「はい、もちろんです。私はキリノ様をお助けするためにいます。ですので、どうかお気になさらず」
「そうか。今更だったな……」
俺はフロア中をもう一度歩き回り、敵を倒し続けた。万が一の時にはユキが助けてくれるという安心から、全力で目の前の戦いに集中することができる。
そうしてレベルを上げていると、ついにエルダーアーマーも一撃で倒せるようになった。
充分にレベルが上がったと判断し、次のフロアへと進んだ。その先でも敵の顔ぶれは変わらないようで、先程俺が警戒していた難易度の急変は杞憂となった。
しかし、仲間と毎回はぐれてしまうため油断はできない。
再びユキたちと合流すべくフロアを探索していると、奇妙なアイテムを拾った。形状は薬瓶なのに、詳細を開いても一切の効果が不明となっている。名称も同様で、クエスチョンマークが三つ並んでいるだけでわからない。
そこでようやく俺は思い出した。以前プレイしたゲームでも、このようなアイテムは存在した。拾ったアイテムの正体がわからず、使ってみて判断しなければならないというシステムだ。
俺がプレイしたゲームとの違いは、全てのアイテムが判別不能になっているわけではないという点。問題なく使用できるアイテムもあるので、これはよほどのことがない限り使わないでおいた方が無難かもしれない。
そう判断し、アイテム回収を再開した。にもかかわらず、次に手に入れたアイテムも同様だった。今度は魔法書の形状をしているが、詳細を見ても効果は不明と表示されている。
願わくば、これらのアイテムを使う羽目にならないように。そう祈りながら探索を続けた。




